地域文化の中で子育てを、家庭教育学級/住田町(サブ画像あり)

▲ 今昔亭光草さん㊧を迎えて行われた「家庭教育学級講演会」=住田町役場

おすすめ本の展示も

 

 住田町教育委員会など主催の「家庭教育学級講演会」は6日、町役場町民ホールで開かれた。子育て中の親や祖父母、地域住民らが来場し、久慈や住田の昔話を味わいながら地域文化の中で子どもたちを育んでいく必要性を学び取った。

 講演会は子育てを学ぶ場にするとともに、乳幼児をはじめとした子育て家庭の交流や情報交換、夫婦間の共通理解を図る機会にと毎年開催。男女共同参画関連講座の一環としても位置づけている。

 この日は、町内小中学校、保育園のPTAや地域住民ら約70人が来場。講師は、NHKのドラマ「あまちゃん」で方言指導監修を担当した語り部マイスター・今昔亭光草さん(久慈市)が務めた。

 今昔亭さんは平成19年から同市における昔話の伝承・採話活動を展開。その名前は、洋野町大野の老人ホームで昔話を行った際、利用者や職員から「昔話を今に伝えて光を与え、草を茂らせる親方になるように」との意味を込めて付けられたという。講演は、「語り部おやじの『おらが子育て』」と題して進められた。

 この中では、久慈の方言、訛りを交えながら地元の昔話「節分の鬼」や「虫歯の大黒様」を披露。「節分の鬼」の紹介後は、「人はあとちょっと頑張ってほしいときに鬼になるが、鬼がいないとやりたい放題になってしまう。自分の子ども、孫をかわいがるだけではだめ。ときには鬼になってほしい」と語った。

 趣味のバイクや、会長を務めるおおかわめ親父の会での経験から得た教訓、子育ての心構えにも言及。「旅に行くときには子どもや孫にも決定する機会を与えて」「お年寄りとのコミュニケーションツールは訛り。子どもたちにも訛りを残さないと、地域文化がなくなってしまう」「人と人とのつながりを大事にして子育てをすると、いい子が育つ」などと述べた。

 住田の方言を用い、有住地域に伝わる「櫃割(ひつわり)長者」の語りにも挑戦。最後に、「昔話は地域にいっぱいあるが、自分の子どもや孫が生まれたときの話も昔話。その話もしてほしい。お父さんたちもぜひ語り、地域コミュニティーの醸成も図ってほしい」と呼びかけ、結んだ。

 来場者らは、今昔亭さんの温かさにあふれた話を楽しみながら聴講。子育ての経験談やアドバイスにも耳を傾け、子どもたちを育むヒントとしていた。

 隣の交流プラザでは、町内の読み聞かせボランティア「どんどこ」と、図書ボランティア「ま~ぶる」による企画展示「親子おすすめ本コーナー」も併催。両団体が子どもから一般の各年代に合わせて選んだ、おすすめ本30冊余りを一堂に展示した。

 『いないいないばあ』や『どろんこハリー』といった名作絵本から、『ハリー・ポッター』シリーズといったベストセラーまで、多彩な図書を紹介。各本には紹介文が添えられており、来場者らは本を手に取ったり、おすすめポイントに目を通すなどして本選びの参考にしていた。

交流プラザには「親子おすすめ本コーナー」を開設=同

交流プラザには「親子おすすめ本コーナー」を開設=同