かさ上げ前の道路で運行へ、8月7日のうごく、けんか七夕/陸前高田(動画あり)

▲ 「うごく」が行われる計画の高田地区の道路=陸前高田

 8月7日(金)に行われる陸前高田市高田町のうごく七夕、気仙町のけんか七夕はそれぞれ、東日本大震災前からの道路での運行に向け、調整が進んでいる。うごく七夕は、現在通行止めとなっている荒町地域からキャピタルホテル跡地付近まで南北に伸びる市道などで計画。けんか七夕は昨年と同様、八日町通りで〝激突〟する。周辺ではかさ上げ整備が進み、両まつり関係者ともかさ上げ前の道路での開催は「今年こそ最後」との思いを胸に刻む。古里に対するさまざまな感情を込めながら、今年も山車制作が動き出した。

 

 「今年こそ最後」思い刻み

 

 うごく七夕は勇壮な七夕ばやしを町内に響かせながら、竹に染め紙を結びつけたナンバンや、華やかなボンボリなどで飾り付けた山車を運行させる。震災以降も毎年各山車が練り歩いた駅前通りは今、かさ上げ工事が行われ、かつての道路の面影はなくなっている。

「けんか」を予定している今泉地区の道路=同

「けんか」を予定している今泉地区の道路=同

 高田町七夕祭連絡協議会などによると、まだ詳細な計画は固まっていないものの、高田小学校入口付近からキャピタルホテル跡地付近で国道45号と接する市道荒町曲松線を舞台に、山車運行ができる見通しがついた。現在市道はかさ上げ整備に伴い通行止めとなっているが、高田地区被災市街地復興土地区画整理事業を進める市やUR都市機構、清水JVからの協力を得られることになった。
 山車の運行は、11台の予定。関係者は、旧市街地での開催は「本当に最後」ととらえる。

 昨年以上にかさ上げ前の土地を練り歩く道路は限られており、各祭組の山車が1カ所に集結できるかなどは、まだ固まっていないという。
 けんか七夕は、今泉地区で約900年の伝統を誇る。かじ棒となる長さ15㍍の丸太を取り付け、アザフなどで彩られた山車同士が激しくぶつかり、引き手を鼓舞する七夕ばやしが響き渡る。
 震災前4台あった七夕山車は、1台を残して流失。4年前は山車1台の運行で伝統をつなぎ、翌年からは2台によるけんかが続く。
 同地区でもかさ上げ工事が進められ、今は気仙大橋側から激戦の歴史を積み重ねてきた八日町通りには入ることができない。しかし、盛り土工事自体には入っておらず、震災前からの道路が今も残る。

成功を願い執り行われた安全祈願祭=諏訪神社

成功を願い執り行われた安全祈願祭=諏訪神社

 同じく今泉地区で区画整理事業を進める市などの粋な計らいによって、約150㍍の直線を使用できることに。12日には地元に鎮座する諏訪神社(河野聡宮司)で安全祈願祭が執り行われ、はんてん姿の大人たちや未来を担う気仙中生ら約20人がそろった。
 関係者による玉串奉てんに続き、太鼓や笛による七夕ばやしを奉納。笛を響かせた気仙中3年の村上緑さん(14)は「七夕まで安全に準備が進むことを願った。見に来た人々、まつりに参加した人々すべてが『良かった』と思えるまつりになれば」と話した。引き続き参列者たちは、通り沿いで山車制作の準備にとりかかった。
 けんか七夕祭り保存連合会によると、まつり当日は午前9時30分から八日町通りと中井バス停跡地間で山車の手引き練り歩きがスタート。11時30分からは同通りで山車の撮影会などを行う。
 午後1時20分に再び練り歩きが出発し、昼のけんかは2時30分ごろを予定。夜のけんかは、7時ごろから行う。
 同会の河野和義会長(70)は「集まっている『半纏組』のやつらはまつり好きというのもあるが、何もかも失った地域に財産として残していこうと頑張っている。来年以降は現実的に難しいが、未来の子どもたちのためにつなげていきたい」と、力を込める。