気仙の稲作振興目指し、認定農業者らが米づくりの情報交換会/住田町

▲ 事例紹介などを通じて今後の米づくりのあり方を探った情報交換会=住田町役場

 住田町認定農業者連絡協議会(吉田正平会長)主催の「気仙地区の米づくりに関する情報交換会」は18日、町役場町民ホールで開かれた。地区内の認定農業者団体や行政などの関係者が出席し、稲作経営における気仙や県内の動きなどに理解を深めるとともに、意見交換も行って今後の米づくりのあり方を探り、気仙の稲作、農業の振興を目指していこうと誓い合った。

 米価の低迷や生産資材の価格高騰など、米づくりを取り巻く環境は厳しさを増し、担い手の経営に影響を与えている。情報交換会は、稲作経営の課題克服と今後の発展に向け、認定農業者などの担い手が一堂に会し、情報共有や相互の研さんを図り、気仙地区の農業振興へつなげていこうと企画。陸前高田、大船渡両市の認定農業者の会、大船渡地方農業振興協議会担い手部会が後援した。

 この日は、気仙3市町の認定農業者や行政関係者ら20人余りが出席。吉田会長は「米づくりが大変厳しい中、さらにTPPの合意でますます苦しくなるといわれている。しかし、見方を変えれば、世界の富裕層においしい米を高く届けられるかもしれない。何事にも行動を起こし、付加価値のある米づくりをして、所得向上につなげたい」とあいさつ。同部会長の千葉徳次陸前高田市農林水産部長もあいさつを行った。

 その後、情報提供や事例紹介を展開。情報提供では、大船渡農業改良普及センターの熊谷親一技師が「新たな農業経営指標の策定について」として、農業経営者が自らの経営状況を自己チェックし、経営改善を図るために活用する指標の仕組みなどを説明した。

 続く事例紹介では、陸前高田市の「たかたのゆめ」ブランド化研究会の佐藤信一会長が「〝たかたのゆめ〟について」と題して取り組み内容を発表。同市の復興米とも称されるたかたのゆめについて、その系譜やこれまでの経緯、今後の展望などを述べた。

 たかたのゆめは、日本たばこ産業㈱が保有していた「いわた13号」を、市の基幹産業でもある農業の復興支援として、その権利も含めて市へ寄贈した新品種米。陸前高田でしか作付けしていない米であり、市では農業における復興のシンボルに位置づけ、地域ブランド米としての確立を目指している。

 佐藤会長は、「たかたのゆめは、〝冷めてもおいしい〟を一番の売りにしている」と述べ、食味はあきたこまちやひとめぼれと同程度であると説明。生産者や行政、関係機関が連携したブランド化研究会の具体的な取り組みにも触れ、「たかたのゆめは収量も農地も少ないが、こだわって売っていかなければならない」「いいものをつくり、消費者にも〝高く買って食べてもいい〟と納得してもらえる努力が必要」などと語った。

 その上で、「陸前高田市における一次産業の底上げを考えても、たかたのゆめは起爆剤になる」と市内の農林水産業を復興、発展させていくためにも一層生産に力を入れていきたいと意欲。「オール高田で陸前高田の元気を発信し、相乗効果を上げていきたい」と結んだ。

 また、もう一つの事例紹介では、熊谷技師が「岩手107号について」と題し、岩手のオリジナル水稲品種として注目されている岩手107号の概要や作付推進の考え方などを解説。「これからの米づくりについて」をテーマにした意見交換も行われ、参加者らは新たな稲作への取り組みなども視野に入れながら考えを出し合い、情報を共有する機会としていた。