かさ上げ地で初の開店、「大鮨」が7日オープンへ/大船渡駅周辺地区

▲ 大船渡駅周辺土地区画整理事業のかさ上げ地で初の開店となる「大鮨」=大船渡市

 大船渡市大船渡町字茶屋前地内の大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内かさ上げ地で開店準備を進めてきた、すし店「大鮨」(向澤次夫店主)が、7日(月)に本格オープンする。津波被災後の再開と同事業に伴う移転という道をたどり、区域内かさ上げ地では初となる開店までこぎ着け、「生涯ここで頑張りたい」と決意も新ただ。

 

 須崎川近くにあった同店は、平成23年3月の東日本大震災津波で、隣接していた住居とともに全壊。周辺にがれきや被災建物が残る中の同年11月、同じ場所に店を建て直して再開した。
 その後、大船渡駅周辺地区は中心市街地再生を目指す区画整理事業が行われることとなり、同店も換地先に移ることに。向澤店主(65)は今年1月いっぱいでいったん店を閉め、数百㍍離れた大船渡保育園近くの換地先で、自らの住まいを兼ねた店舗の建設を進めてきた。

親交のある大間の漁師から贈られた本マグロを前に決意も新たにする向澤店主

親交のある大間の漁師から贈られた本マグロを前に決意も新たにする向澤店主

 こうして完成を迎えた店舗は木造2階建て。設計・施工は被災店舗の片付けや再建にも協力した同町の㈲コンノ建設(金野文夫代表取締役)。和風の重厚な構えで、1階の店舗部分はカウンター8席、小上がりスペースを含めテーブル30席ほどの約40席を設け、「以前よりやや広げた」という。
 駅周辺地区の土地区画整理事業は約33・8㌶が対象。区域内のかさ上げは起工承諾が得られたところや仮換地指定を終えたところから着手しており、段階的に引き渡しや建物の建築が進む。店のオープンは、大鮨が初めてとなる。
 7日の開店を前に、現在はプレオープンとして世話になった人たちを招待している。この中で3日には、青森県大間のマグロ漁船・第五十六新栄丸の竹内正弘さんから、開店祝いとして1㍍60㌢、約80㌔の本マグロも贈られた。カウンターの木材も大間からの贈り物といい、向澤店主は厚意の数々に感謝している。
 振り出しの昭和56年、装いを新たにした平成元年、津波から再開した23年、そして今回と、4度の〝開店〟を経験した向澤店主。「いままで本当にたいへんだった。生涯ここで頑張り、おいしいすしをつくる。多くの皆さんに足を運んでいただければ」と語る。
 営業時間は午前11時30分から午後10時。定休日は未定。年内は30日(水)までで、年明けは2日(土)から営業する。問い合わせは同店(℡27・1106)へ。