住みやすい方策を検討、総合戦略の意見交換会/住田町

▲ 最終日は世田米地区の住民らが地域の現状を踏まえて意見交換を展開=住田町役場

最終日は世田米地区

 

 住田町による「総合戦略策定のための町民のみなさんとの意見交換会」は最終日の18日夜、町役場で開かれた。世田米地区の37人が参加し、町や地区の人口推計、住民アンケートの結果を確認。参加者らは今の生活を改めて見つめ直し、地域で住みやすくなるための方策を検討した。町では各地区からの意見を来月の総合戦略推進委員会で報告し、施策の方向性に取り入れていく考えだ。

 町は国の「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、長期的な人口ビジョンと今後5カ年間の町総合戦略を平成27年度中に策定する計画。策定には行政主体ではなく、町民と一体になって取り組みたいとして、14日から大股、五葉、下有住、上有住、世田米の5地区で意見交換会を開催した。

 世田米地区会場には、町から多田欣一町長や横澤孝副町長、担当職員らが出席。多田町長のあいさつに続き、町側が町や世田米地区の人口推計、15歳以上50歳未満の町民を対象に行ったアンケートの結果を説明した。

 町内で最も人口が多い同地区。町の人口推計によると、22年の3329人から30年後の52年には1792人となる見込みで、減少率は46・1%。アンケートの結果では、回答者の60~70%が生活や公共施設などに不満を持ち、約40%の住民が「住みたくない」と答えた。特に、若い世代で仕事がない、買い物が不便などの理由で「住みたくない」と回答しており、女性の割合が多くを占める。

 その上で「住みたい町、世田米になるためには」として、参加者らが意見を交換。人口減少対策では、「世田米がベッドタウンになるよう、住宅を安くして若い人が生活をしやすいように」「町職員は一生住田に住んでほしい」「小中学校の給食費を無料にし、奨学金制度の充実を」「住んでみたい人に〝お試し住民〟をしてもらい、住む期間に応じて住民税を減免しては」などのアイデアが寄せられた。

 地域活性の面では、「分野別に予算のみを提示し、住民が取り組みたいことをやらせても」「木づくりのスモールオフィスを設置してアトリエや仕事の場にし、人、雇用を呼び寄せられないか」「大型の木製おもちゃを製造する工場があれば」「河川敷の公園や野球の応援に来る人たちに、食事、特産品などを売る屋台などを出しては」といった提言が上がった。

 また、「アンケートでは15~19歳で町外へ出たいという考えが多いが、これは当たり前。外へ出てから振り返るとき、この町に戻ってきたいと思える地であることが大事では。地元で頑張る姿を応援できる体制があれば、出た人も戻って何かやれることがあるんじゃないかと思える」との意見もあった。

 最後に、多田町長は「大変貴重な意見をいただいた。これらの意見を推進委員会へ持ち帰り、新しい計画の中に生かしていきたい」と謝辞を述べた。5地区で開かれた意見交換会には、延べ152人が参加。町では、今回寄せられた意見を1月8日(金)に開催する推進委で報告し、住民の声を形にしていくには、具体的な施策に反映していくにはどうすべきかを検討していく。