幻想と里山の世界再現、世田米中の2作品が最優秀賞受賞/木工工作コン県大会 (別写真あり)

▲ 木工工作コン県大会で「銀河鉄道の夜」㊨と「南部曲がり家古民家」が最優秀賞枠に選出=世田米中学校

 第40回全国児童生徒木工工作コンクール(日本木材青壮年団体連合会主催)の県大会はこのほど、審査結果が発表された。気仙からは、住田町立世田米中学校(松高正俊校長、生徒78人)の特設木工部(千葉雄太部長、部員8人)が手掛けた「銀河鉄道の夜」と「古民家 南部曲家」が最優秀賞を受賞し、来年2月末に長野県で開かれる全国審査会への出品が決まった。部員らは幻想と里山の世界を、受け継がれてきた技で再現。「全国では最高賞の文部科学大臣賞を目指す」と意気込んでいる。

 

 全国審査会へ出品決める

 

 同校の特設木工部では昭和62年以来、コンクールに毎年出品。今大会では「銀河鉄道の夜」が県知事賞、「古民家 南部曲家」が県木材産業協同組合理事長賞と、最優秀賞枠二つに入賞を果たした。
 平成27年度は3年生8人が夏休みから準備を始め、9月から制作を本格化。約3カ月をかけて2作品を完成させた。指導は主任用務員の村上淳さん、特別講師である前校長の内海行英さんが務めた。
 「銀河鉄道の夜」は、千葉部長、菊池貴大君、千葉範君、村上瑞季さんが担当。住田と縁が深い岩手出身の作家・宮沢賢治の同名童話や、町内を走るSL銀河から着想を得た。
 線路を駆け、銀河へと旅立とうとする汽車の幻想的な世界を、木工の技術を駆使して表現。橋は遠野市の宮守川橋梁(めがね橋)をモデルにし、木の皮をバランスよく並べて石垣同然に見せ、水色の星ではくちょう座などの星座を描いた。
 リーダーの千葉部長は「県知事賞はとてもうれしい。石垣の形を合わせていくのが難しかったが、みんなでまとまって積極的に作ることができた。個人的には2回目の全国出品になるので、今年は文部科学大臣賞を取りたい」と意気込む。
 「古民家 南部曲家」は、泉明日香さん、菅野陽奈さん、菊池あかりさん、熊谷優希さんが制作。古民家と水車小屋が織りなす秋の情景を、緻密な技で作り上げた。
 古民家は写真などを参考に、内部構造にも意識しながら〝建築〟。コケが覆う茅葺きの屋根は、コケがついたスギの皮を用い、大きさや長さをそろえながら張り付けた。鳥や柿の木、周辺に配置した農機具なども工夫しながら完成させたという。
 リーダーの熊谷さんは「細かいところまで頑張ったので、受賞はとてもうれしい。生活感が出るようにと小物をたくさん作ったし、木に葉や実を付けるのが難しかった。全国では1位を必ず取れると思う。期待して待ちたい」と話していた。
 全国審査会の結果は、3月4日(金)に伝達予定。県大会では同校のほか、有住小4年・齊藤桜汰君の作品「かぎかけ」と世田米小同・佐々木怜央君の作品「金運ちょ金家」が優秀賞に選ばれた。