節目に一層の発展誓う、町制60周年で記念式典/住田町(動画、別写真あり)

▲ 町制施行60周年記念式典が開かれ、町勢発展や震災後の後方支援に貢献した特別功労者らを表彰=住田町役場

 住田町の町制施行60周年記念式典は9日、町役場で挙行された。町内外から約170人が出席し、町勢発展や東日本大震災後の後方支援活動を支えた特別功労者を表彰して、記念講演を展開。出席者らは60年にわたる町の歩みを改めて振り返るとともに、先人たちが築いてきたまちづくりや伝統、文化を一層発展させていこうと誓いを込めた。

 

 特別功労者ら表彰、町内外の出席者ら祝福

 

 式典会場となった町民ホールでは、開式を前に「映像で振り返る住田町60年の歩み」を上映。町における貴重な写真や映像を織り交ぜながら、町の取り組みを出席者らに紹介した。
 国歌斉唱、町民憲章唱和に続き、多田欣一町長が式辞。「行政と町民、さらには町を応援する多様な枠組みから力をいただき、ともに知恵を出し合い、ともに汗をかきながら、引き続きまちづくりにまい進したい。町制施行60周年を機に、次なる時代に向かって町民とともに歩んでいく」と述べた。
 菊池孝町議会議長は「町民が住田町に誇りを持ち、安心して暮らせるまちづくりに向けて一層の精進を重ねていきたい」とあいさつ。来賓あいさつでは、千葉茂樹県副知事が県知事からのメッセージを紹介。戸田公明大船渡市長、戸羽太陸前高田市長はそれぞれ祝福の言葉を贈るとともに、震災後における町のさまざまな支援に改めて感謝の意を表した。
 続いて、5個人9団体に対する特別功労者表彰を実施。多田町長から各功労者に対し、木製の表彰状と記念品が手渡された。
 受賞者を代表して、岡田秀二氏(富士大学学長、盛岡市)が謝辞。町の「森林・林業日本一のまちづくり」にかかわってきた思い出に触れ、「ときには皆さんと激論を戦わせ、ときには激励をして、森林・林業日本一の町を着実に築くよう支援と努力をしてきた。受賞者がそれぞれのかかわりから、町の発展を願ってきた。本日の喜びは本当にひとしおであり、感謝を申し上げたい」と述べた。
 町民歌合唱では、世田米中学校2年生が「幸せ創るまち」を披露。伸び伸びとした美しいハーモニーを響かせ、式典に華を添えた。
 式典後は記念講演が行われ、福岡大学工学部社会デザイン工学科の柴田久教授が登壇。「景観をとらえ、活かす、まちづくり~住田町の『らしさ』と活性化を考える~」と題し、景観を生かしたまちづくりについて事例を交えながら紹介した。
 柴田氏は、住田町の自然豊かな風景や古い建物に残る気仙大工の技、世田米の蔵並みなどを「らしさ」として、まちづくりに生かすようアドバイス。地域活性化を目指した公共施設デザインに求められる三つのポイントとして「日常性、波及性、継続性」を挙げ、新たなまちづくりに役立ててほしいとエールを送った。
 住田町は昭和30年、世田米町、上有住村、下有住村の1町2カ村が合併して誕生。「森林・林業日本一の町」を目指し、木材流通システムの充実を図り、環境に配慮した林業施策を展開。「安心してずっと暮らすことのできる地域」の実現に向け、各種施策を進めている。平成23年の震災では、発災直後から気仙両市をはじめとする被災地の後方支援に尽力し、現在も活動を続けている。