思い出多き学舎に別れ、気仙4高校で卒業式(別写真あり)

 卒業シーズンの3月を迎え、大船渡、大船渡東、高田、住田の気仙4高校で1日、卒業式が行われた。このうち、高田高校は新校舎で初の卒業式を挙行。生徒らが大船渡東高校萱中校舎での2年間、新校舎での1年間を振り返りながら高校生活へと別れを告げた。このほかの3校でも、卒業生が思い出多き学舎を巣立ち、新たな世界へと羽ばたいていった。

 

新校舎で初の挙行/高田高

 

 県立高田高校(横田昭彦校長)では、多くの保護者や後輩、教職員らに見守られながら普通科、海洋システム科合わせて161人が卒業。

 

生徒らが堂々とした姿で卒業証書を受け取った=県立高田高校

生徒らが堂々とした姿で卒業証書を受け取った=県立高田高校

 高田高校は震災によって校舎が被災したため、昨年度まで大船渡市立根町にある大船渡東高校萱中校舎を間借りしていた。本年度からは、高田町に完成した新校舎で生活を送っている。

 卒業証書授与では、各クラスの担任が一人ひとりの名前を読み上げ、生徒らが大きな声で答えて横田校長から卒業証書を受け取っていった。

 横田校長は生徒らのこれまでの取り組みをたたえながら「これまで培った力、積極性、つながる心はそのままみなさんの基盤となる。自ら課題を見つけて次に進み、幸せな未来をつくり上げることを期待したい」と式辞。

 送辞では、在校生を代表して寺谷一星生徒会長(2年)が「高田高校での3年間を礎に、新たな世界で活躍してほしい。素晴らしい伝統を守り、少しでも皆さんに追いつけるようがんばりたい」 と卒業生らにエール。これに対し、卒業生代表の磯谷茉佑さんは周囲への感謝を口にしながら「これからの人生のなかでいろんな困難を迎えるが、高田の地を胸に抱き頑張る覚悟」と答辞を述べた。

 式後、生徒らは学友との別れを惜しみながら真新しい校門を後にし、未来へ向かってそれぞれ踏み出した。

 

新たな一歩へ決意伝える/大船渡東高

 

 県立大船渡東高校(角舘覚校長、生徒419人)の卒業式は、同校体育館で開かれた。卒業生147人は、家族や先生、後輩たちに3年間の感謝の気持ちと、それぞれの進路で新たな一歩を踏み出していく決意を伝えた。

生徒が家族にツバキを贈呈=大船渡東高校

生徒が家族にツバキを贈呈=大船渡東高校

 卒業生は学科別に、農芸科学科30人、機械科32人、電気電子科19人、情報処理科29人、食物文化科37人。式には教員と在校生のほか、来賓、保護者らが出席した。

 東日本大震災の犠牲者に対する黙とうのあと開式。国歌斉唱に続く卒業証書授与では卒業生が一人ひとり呼名され、「はい」と明るく返事をした生徒らがステージに上り、角舘校長から証書を受け取った。

 すべての証書を渡し終えた角舘校長は、卒業生らの3年間の努力をたたえるとともに「卒業後はさまざまな苦難もあると思うが、自分を一歩先に導いてくれる人と出会い、またみなさんがそういった人に成長していくことを祈念している」と式辞を述べた。

 このあと、角田陽介副市長と船砥浩一PTA会長、菊池透同窓会長が祝辞。祝電披露に続き、産業教育振興中央会と県産業教育振興会による優良卒業生の表彰も行った。

 在校生代表の加藤蘭生徒会長(2年)は「先輩方が過ごした日々はきっと挑戦の連続で、私たちもその背中に導かれた。この学校で先輩方が築いてきたものを引き継ぎ、さらに発展させていきます」と送辞。

 答辞では佐藤樹生前生徒会長(3年)が「希望と不安を胸に入学してからの3年間は、毎日が新しい学びであふれていた。晴れてこの日を迎えられたことを喜び、みなさんに支えられているということを胸に刻んで、これからもがんばっていきたい」と堂々とした声を響かせた。

 式後は、各教室で保護者も参加してのホームルームを実施。生徒が1年生の時に挿し木し、農場で育てたツバキの苗木を家族にプレゼントして、感謝を言葉にしていた。