過疎の課題へ的確対応、自立促進計画を策定/住田町

▲ 住田町が本年度から5カ年にわたる「過疎地域自立促進計画」を策定(写真は資料)

28年度から5カ年

 

 住田町はこのほど、「過疎地域自立促進計画」を策定した。国の過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)による過疎地域指定を受け、平成28年度から5カ年にわたる自立促進の方向性を定めている。27年度に策定した町の人口ビジョン・総合戦略・総合計画に包括される内容となっており、人口減少や地域経済の衰退などといった町の課題に対し、的確に対応しながら個性豊かな地域づくりを推進していく。

 国は昭和45年に過疎地域対策緊急措置法を施行後、過疎地域の振興を支援するために各種措置法を制定。現在の過疎法は10年間の時限立法として平成12年に制定され、その後の一部改正で32年度末まで延長。ハード事業に加え、22年には自立促進の振興を講ずるためのソフト事業も対象となった。

 過疎地域に指定されると、過疎対策事業債(過疎債)が発行され、元利償還金の7割が普通交付税として措置される。保育所や消防施設などの建設には、国の補助のかさ上げもなされる。

 住田町は昭和55年に過疎地域として指定されて以来、道路交通体系や生活環境と高齢者福祉施設、情報基盤の整備、教育文化施設の整備と充実、農林業の振興、消防防災体制の整備充実といったハード整備を推進。平成23年度からは地域の医療確保、公共交通対策、集落の維持と活性化などといったソフト事業も進め、将来にわたり安全安心な地域社会の実現を図ってきた。

 これらは一定の成果を挙げているものの、依然として人口減少と高齢化に歯止めがかからない状況が続く。その影響を受け、地域経済の衰退、耕作放棄地の増加、空き家や空き店舗の増加、地域コミュニティー機能の低下による集落機能の維持が困難な状況など、対応すべき課題が増加している。

 今回の計画は、町が27年度に策定した「人口ビジョン・総合戦略・総合計画」に包括され、その中の基本方針に沿って策定。町議会3月定例会に上程し、可決された。第1から第10までの項目からなり、期間は28~32年度。本年度に策定する公共施設等総合管理計画(仮称)との整合も図る。

 第1「基本的な事項」には、「町の概況」や「人口及び産業の推移と動向」「地域の自立促進の基本方針」などを記載。第2以降は「産業の振興」や「生活環境の整備」「医療の確保」「集落等の整備」などの分野ごとに、自立促進のための「現況と問題点」「その対策」を記し、対策として実施するおもな事業を「事業計画」に登載した。

 基本方針では町の現況と問題点を踏まえ、今後の方向を定めた。従来の施策を引き続き展開するとともに、交流人口の拡大、地域経済の活性化、人口対策、森林の多面的な機能を活用した施策や産業の振興、集落の維持と活性化を図ることなどにより、個性豊かな地域づくりを推進するとしている。

 特に重点を置く施策は、町総合計画に掲げた▽中心地域活性化▽すみたい町創造▽食いく▽木いく▽コミュニティ・サポート(小さな拠点づくり)構築──の5プロジェクト。このうち、中心地域活性化では、交流人口の拡大や移住・定住の促進による経済効果の向上を図るため、便利で暮らしの豊かさを実感できる環境整備などに取り組む。

 食いく、木いくの各プロジェクトは、基幹産業である農業、林業それぞれにおいて新たな振興方策と就業環境の整備を図り、魅力ある地域産業、就業環境の創出を図る。

 コミュニティ・サポートは集落機能の維持、活性化のためのコミュニティサポートの拠点づくりを推進し、住民自治の基礎集団である集落の生産活動、交流活動など生活全般を支える「住民協働」の仕組みをつくっていく。