“ワラビの森”収穫満喫、下有住蕨峠15日まで観光農園/住田町(別写真、動画あり)

▲ しっかりと成長したワラビを収穫する来訪者=下有住

 住田町のすみた里山を守る会(紺野昭二会長)は11日、下有住字奥新切の蕨峠町有地に設けた「観光ワラビ園」の開放を始めた。同会では3月に野焼きを行って成長を促しており、約2㌶の丘陵地は〝ワラビの森〟と化している。初日は降雨に見舞われたが、収穫を心待ちにしていた町外在住者らが詰めかけ、しっかりと伸びたワラビを摘み取り、笑顔を見せた。開放は15日(日)まで行われる。

 

山焼きでしっかり成長

 

 守る会は里山地域の有効活用と環境整備を図ろうと、伝統的な山焼き手法の取得と継承を目指す団体。平成20年に結成した。山菜栽培も振興しており、遠野市境に位置する蕨峠町有地の一部を実証区域に山焼きとワラビ発生状況調査などに取り組んでいる。
 観光ワラビ園の開設は、一般開放の一環で22年に始まった。今年は3月20日に山焼きを実施し、新たな草花や山菜が芽吹きやすい環境を整えた。
 開放は雨のスタートとなったが、駐車場には他県ナンバーの車両も見られるなど、地元外からの来訪が目立った。訪れた人々は丘陵地をゆっくりと巡り、思う存分収穫を楽しんだ。
 大きいもので高さ50㌢ほどに成長し、雨の滴でみずみずしさが引き立ったワラビたち。蕨峠には鳥たちのさえずりに加え「ポキッ、ポキッ」と摘み取る音が響き渡った。
 山田町から車で2時間かけて訪れた佐賀隆吉さん(68)は、東日本大震災で自宅が被災し、現在は町内の災害公営住宅に暮らす。「楽しみがないと、つまらない。品質もいいし、クマの心配がないのもいいね」と笑顔。知人にも分けるといい、約10㌔収穫した。
 今年は冬場に降雪が少ない影響が懸念されたが、4月の低温が続いた時期を抜けてからは順調に伸び、発生量は例年よりも多いという。紺野会長(71)は「沿岸の被災者にも来ていただき、気軽に楽しんでほしい」と語る。
 体験時間は午前9時から正午まで。受付開始は8時30分。ワラビの成長を促すため、13日(金)は休園とする。参加料は1000円で、2㌔まで取り放題。2㌔を超える場合は、1㌔ごとに300円を追加徴収する。
 事前に電話で参加申し込みを受け付けているが、当日直接の体験も可能。申し込み、問い合わせは同会事務局(町農政課農業振興係℡46・3861内線233)へ。