こぼれる光 活用幅広く 対話はぐくむ空間に まち家世田米駅、会議利用も本格化/住田町(別写真あり)

▲ 商店街通りに面したカフェスペースでの会議利用も本格化=世田米

 住田町の世田米商店街で町が整備を進める住民拠点施設「まち家世田米駅」では、各種団体によるカフェや交流スペースでの会議利用も本格化を迎えた。日中の仕事を終えた団体関係者が夜間に集まり、古民家を生かした建物から商店街へとこぼれる光は、人々が寄り合うことで生まれる温かさを感じさせる。関係者は、住民らによる積極的な活用に期待を込める。

 この施設は、明治時代から昭和30年代にかけて建設された旧菅野家の家屋や蔵などを活用。町は、平成23年度に決定した町中心地域活性化構想に基づき整備を進めてきた。
 24年度に建物を譲り受け、構造や部材をできる限り当時のまま残す形での改修が前年度から本格化。レストランやコミュニティカフェ、交流スペース、まちや体験スペース、蔵ギャラリーなどを設置し、世田米地区公民館としての機能も有する。
 今年4月29日にプレオープンし、今月5日までの土、日、祝日にはレストランやコミュニティカフェが営業。施設工事による休業を挟み、16日に再開を迎えた。
 「人目につく場所で会議を行うことで、あの2日間だけ動いている組織ではないということも分かってもらえる。実際、使い勝手の良い施設だと思う」。
 17日夜、施設の一部で商店街通りに面した部分に位置する「すみカフェ」。ケセンロックフェスティバル(KRF)実行委の会議を終えた村上健也委員長(48)は、こう話した。
 KRFは今年、7月16(土)、17(日)の両日に世田米の種山ヶ原イベント広場で予定。会議には町内外からメンバー10人余りが集まり、チケットの販売状況、多岐にわたる準備の進ちょくなどについて確認した。
 カフェはガラス戸で閉じられてはいるがカーテンはなく、打ち合わせの光景は丸見えの状態。道路へとあふれ出す光は、商店街に明るさや温もりをもたらしている。
 村上委員長は、まち家の運営を担う一般社団法人SUМICAの代表職も務める。「こうなればいいなという形に、近づいている」。この日は歩いて訪れた地域住民がレストラン「kerasse(ケラッセ)」に入り、飲食を楽しむ光景も見られた。
 同日夜は、レストランとカフェの間に位置し、かつての座敷空間を生かした交流スペースでも会話が広がった。世田米の各地域公民館関係者らで構成する「せたまいまちづくり委員会」の本年度第1回委員会議には、16人が集まり、本年度の事業計画などを確認した。
 会議に参加した世田米地区公民館の佐々木忍館長(71)は「落ち着いて、ゆったりと過ごすことができる。電気がつき、人が寄り合ってくる施設になって良かった」と語る。6月2日(木)には高齢者教室受講者による見学や昼食会も予定。佐々木館長は「せっかくの施設であり、使っていかなければ」と力を込める。
 6月以降は、蔵スペースや駐車場の利用も見込まれる。整備から運営という新たなステージに入った中、商店街や町全体に活気やにぎわいを呼ぶことができるか。住民活動の充実や、交流人口増加といった面でも注目を集めそうだ。