5小中学校で校庭の仮設住宅撤去へ、来月から工事を開始/大船渡市

▲ 校庭に整備された応急仮設住宅を来月から撤去へ=盛町

 大船渡市は7月から、市内5小中学校の校庭に整備された応急仮設住宅の撤去作業を開始する。入居者らはすでに災害公営住宅や防災集団移転事業、集約団地への転居などによって次の住まいへ移るめどが立った。撤去工事やグラウンド整備は県の発注で行われ、すべての作業を経たうえでの各校への引き渡しは、おおむね11月中を見込んでいる。

 

引き渡しは11月中予定

 

 平成23年の東日本大震災による大津波を受け、各地に建設された応急仮設住宅。同市内では公有地、民有地など37カ所に1801戸が整備され、盛、大船渡北、末崎、蛸ノ浦、猪川の各小学校と、大船渡、末崎、第一、綾里の各中学校の校庭にも建てられた。
 その後、市は26年度に「応急仮設住宅撤去・集約化計画」を公表。27年の11月には見直し方針を示し、特に小中学校に建設された応急仮設住宅の早期撤去に取り組んできた。
 これまでに綾里中校庭に整備された黒土田をはじめ、上平(大船渡町)合足(赤崎町)の3団地で撤去が完了。綾里中ではグラウンド整備工事が進み、7月中の校庭引き渡しを目指している。
 来月から撤去開始となる応急仮設住宅は、盛(沢川)大船渡北(山馬越)末崎(山岸)猪川(轆轤石)の各小学校と末崎中学校(平林)の合計54棟312戸。このうち、山馬越では26年に1棟4戸が解体済みとなっている。
 市によると、これら5団地に入居していたのは107世帯。撤去に当たり、災害公営住宅41世帯、防災集団移転事業9世帯、民間賃貸住宅6世帯、自力再建18世帯、集約団地といったほかの応急仮設住宅32世帯、その他1世帯と、それぞれ次の住まいへの転居を終えているという。
 撤去工事は県が発注し、解体施工業者は大船渡北小、末崎小、末崎中が日成ビルド工業㈱大船渡営業所、盛小は㈱照甲組、猪川小は㈱佐賀組。盛小と猪川小は契約手続き中の段階にある。
 撤去工事は、電気や水道、排水といった設備の取り外しからスタート。外装、内装、本体の順で解体を進め、配管などを撤去後、外構の敷きならし、グラウンド整備に至る。
 グラウンド整備については解体撤去の終了に合わせ、県が施工業者を別途発注。各校への校庭引き渡しは11月中を見込む。
 第一(宮田)、大船渡(永沢)の各中学校に建つ応急仮設住宅は、12月に撤去開始予定。蛸ノ浦小(鳥沢)は新赤崎小への移転時期との日程調整により、来年2月の工事開始を計画している。
 戸田公明市長は「今後も県と常に連携を図りながら、早期の児童生徒の教育環境の確保に向け、重点的に進めていきたい」と話している。