大阪の高校生が高田高へ寄付、語り部講演会企画して募金

▲ 大阪で自ら「語り部講演会」を企画し、集まった募金を届けた枚方市の高校生・古味君㊥と、友人で協力者の須崎君㊨=高田高校

 東日本大震災で被災した県立高田高校(菅野慎一校長、生徒501人)に対し3日、大阪府枚方市の高校生から寄付金が贈られた。この生徒は中学生の時に陸前高田を訪れたことがきっかけで同市に心を寄せ続けており、自分にできることで応援したり、防災に関心を持つといった姿勢が同世代の中に広がっていくことを願う。
 同日は枚方市在住の高校2年生・古味元希君と須崎響介君の2人が同校を訪問。古味君は今年2月に枚方市民会館で陸前高田市の震災語り部・釘子明さんの講演会を開催し、来場者に募金を呼びかけ。集まった4万1328円を同校へ贈呈するため、夏休みを利用し訪れた。
 古味君は中学3年生の夏、おおさかパルコープのボランティアバスで同市を初訪問。このとき釘子さんの話を聞き、「皆さんががれきと呼んでいるものは、私たちの生活そのものだった」という訴えが胸に刺さったという。これを受け、自分が通う中学校の校長に「学校で講演会を開いてほしい」と直談判。このとき聴講した仲間が、その後に復興支援ライブを開くなど、古味君に共鳴した活動の輪も広がっている。
 今年は「さらに広く聞いてもらいたい」と一般対象の講演会を企画。開催経費については、人脈を駆使して古味君が地元企業などを訪ね歩き、1社ずつ地道に協賛をお願いしたのだという。
 今回の寄付は同校の基金である「高田高校を支援する会」に積み立てられ、学校の復興にかかる事業に使われる。菅野校長は「わが校の生徒と同じ世代の人たちが呼びかけ、集めてくれたお金。有効に使わせていただきたい」と感謝を示し、古味君の行動力や実行力をたたえた。
 古味君は今回初めて同校に足を踏み入れ、校庭に仮設住宅が建つ現状なども目にした。「自分が今いる環境は、〝当たり前〟のものではない」と周囲に対する感謝を新たにするとともに、自然災害や防災を自分ごととしてとらえる大切さを、より強く訴えていかねばという思いを持ったという。
 2月の講演会には200人以上の来場があったが、「年配の人が多かった。今後は高校などを回り、各校で開催してもらえないか頼んでみようと思う」と話すのも、南海トラフ巨大地震発生のおそれがある大阪で、同世代の中から意識高揚を図りたいと考えるからだ。
 「こちらで生活を取り戻そうと頑張っている人たちと一緒に、僕らも何かしたい。僕と彼(須崎君)は枚方のクラブチームで小学生にサッカーを教えているので、サッカー部同士の交流などができないかとも考えている」と古味君はさらなる意欲を語った。