論戦続く三木・ランバー問題、住民説明機会など追及/住田町議会9月定例会

▲ 9月定例会が開会し、初日は5議員が一般質問=住田町議会

 住田町議会9月定例会は8日に開会し、会期を16日(金)までの9日間と決めたあと、瀧本正德、村上薫、泉田是重、林﨑幸正、菅野浩正(いずれも無所属)各議員による一般質問が行われた。厳しい情勢が続く三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)問題を複数議員が取り上げ、住民説明や利益確保の見通しを巡り論戦。住民説明に関して当局は、今後策定する経営計画がまとまった状況をみて判断する意向を示した。9日の一般質問でも、同問題の論戦が予定されている。

 

きょうまで一般質問

 

 2期続いた赤字決算からの脱却や、町が融資した計7・9億円の早期償還が急がれる三木、ランバー両組織。この問題を取り上げた瀧本議員は「見える化が重要」と、住民説明の必要性を掲げた。
 経営に関して多田欣一町長は、6月定例会と同様に「再建の兆しは見られるが厳しい状況」と説明。現在は県や町の事業で派遣している経営支援アドバイザーによる調査や分析などに基づき、経営計画を取りまとめている現状も明かした。
 そのうえで「説明は計画をある程度説明できる状況になるなど、機会をみてやりたい」と答弁。具体的な時期の言及はなかった。
 泉田議員は7月下旬に町側が呼びかける形で開催された町当局、両組合理事、出資者、議員らが一堂に会しての意見交換について「今後も続けるか」と質問。千葉純也林政課長は経営計画を策定する状況をみながら、開催したい考えを示した。
 さらに同議員は、来年8月に任期満了を迎える多田町長に対して、次期町長選に出馬するか迫った。多田町長は「現時点では白紙。直面する行政課題に、積極的に取り組む」と述べるにとどめた。
 新たな木材活用策として関心を集めるCLT(直交集成板)をめぐっては、瀧本、林﨑両議員が質問。加工場の立地に加え、本年度と来年度に移転新築整備を行う大船渡消防署住田分署で導入されるかも注目されている。
 答弁で町側は、現時点では設計業者を選定した段階であり、具体的な工法は今後調整を詰めるとの姿勢。再質問で林﨑議員はCLT導入は三木、ランバーの将来的な経営安定化にも寄与するとし、積極的な推進を訴えた。
 町内での生産体制確立について多田町長は「新しい部材でもあり、(普及に向けて)不透明な部分を透明にしていくためにも、需要側であるハウスメーカーの参画が必要。その働きかけを進めている」と答弁。住田分署をはじめ町内建造物での導入は「現時点では三木、ランバーでCLT生産はできない。よそで加工しなければならない中、どの場面で、どういうルートで使うことができるかはこれから検討したい」と語った。
 教育環境整備を追及したのは村上議員。小中一貫校の義務教育学校に移行した大槌町の動きにふれながら、少子化時代における学校教育の充実・強化の見通しを質した。
 多田茂教育委員長は「今後の児童数減少や、将来を担う人材育成が大きな課題。(27年度に策定した)総合戦略における各種施策を推進しながら1学年20人、2校で40人の児童数確保による現小学校維持と、複式学級の回避を目指したい。小さいまちだからこそできる教育振興に取り組む」と答弁。町の特色である国際理解活動や、森林環境学習などのさらなる充実も掲げた。
 小中一貫校について菊池宏教育長は、小中教員協働による指導の充実や「中1ギャップ」の解消といったメリットに言及。一方で「大いに参考になる点もあるが、学園構想でなくても住田町は保育園から小中学校、高校と連携した教育をやっている」とも述べた。
 改正公職選挙法を取り上げた菅野議員は、7月実施の参院選における10代投票率について質問。高橋忠夫選挙管理委員長は町内における18歳は41・86%で、19歳は13・33%と説明。県内でも低位で、とくに19歳女性だけをみると0%だった。
 19歳が極端に低い要因について「進学や就職で町外に転出したにもかかわらず、住民票を置いたままにしている人が多い。住民票を移すよう周知を徹底する必要がある」と解説。また、多田教育委員長は、主権者教育を実施した住田高校3年生は9割以上の投票率だったと明かし、一定の効果が出ていると総括した。
 今定例会には本年度各会計補正予算をはじめとした議案11件や、27年度各会計決算の認定案件が上程されている。日程次の通り。
 ▽9日=本会議(一般質問、議案審議)、決算審査特別委、常任委▽10~11日=休会▽12日~14日=決算審査特別委▽15日=休会▽16日=本会議(議案審議、決算審査特別委報告)