木工工作の功績たたえ、県教育表彰に「はばたき賞」も/世田米中

▲ 受賞を喜ぶ佐藤校長㊧と松田さん=世田米中

 住田町立世田米中学校(佐藤智一校長、生徒67人)が、本年度の県教育表彰を受けることが決まった。町ぐるみで木工工作に取り組んできた足跡や、昭和61年に特設木工部が設立されて以降輝かしい成果を残してきた実績が高く評価されたもの。これとは別に、14日には県教委による本年度前期のはばたき賞も受賞。25年度に行われた第40回全国児童・生徒木工工作コンクールでの最高賞獲得などに対する栄誉で、受賞は通算10度目となった。

 

特設部30年 相次ぐ栄誉


 県教育表彰は、毎年「いわて教育の日のつどい」に合わせて行われ、本年度は今月21日に盛岡市の岩手県民会館で予定。学校教育分野での事績顕著者として同校が選ばれた。
 校内では昭和61年に特設木工部の取り組みがスタート。これまで全国児童・生徒木工工作コンクールでは最高賞である文部科学大臣賞や農林水産大臣賞・林野庁長官賞を数多く獲得した。生徒の卒業や教職員の異動がある中で途切れることなく活躍を重ね、全国トップクラスを維持する取り組みは高く評価されている。
 作品だけでなく、本棚やいす、テーブルなども製作。東日本大震災を機に建設された応急仮設住宅向けの郵便ポストもつくり、地域社会の一員としても寄与している。
 町では特色ある教育として、保育園児から高齢者までを対象とした森林環境学習を展開。同部による活動も系統的に位置づけられ、木材の重要性をより実感できるほか、地域理解の意欲喚起にもつながっている。
 一方、はばたき賞はスポーツや文化活動などで活躍を残した児童生徒をたたえるもの。同校は25年度に行われた第40回全国児童・生徒木工工作コンクールで「古民家 南部曲家」が中学校の部全国1位に相当する農林水産大臣賞を受賞。さらに「銀河鉄道の夜」が全国2位に当たるNHK会長賞に選ばれた。
 卒業生の作品であるため、現在特設木工部で部長を務める松田円さん(3年)が表彰式に出席。「ものづくりにおいて、世田米中はすごいんだと改めて実感した」と振り返る。
 本年度同部に所属しているのは3年生の7人で、現在は11月に控える本年度コンクールへの出品に向け、部品づくりに励む。「住田にこういうものができたらいいな、というものを思い描き、みんなで協力している。多くの人々に驚いてもらえる作品にしたい」と語り、力を込める。
 今回の受賞で、同校にあるはばたき賞のトロフィーは10個となった。佐藤校長は「木工工作は時間も根気も必要で、協力もしなければ成し遂げられない。こうした取り組みは社会において必要なものを学ぶことができる貴重な機会にもなっている」と話している。