黄金の恵み秋空に輝く、気仙で稲刈り本格化(動画、別写真あり)

▲ 黄金色と好天に恵まれた中でコンバインを動かす瀬川さん=上有住

 気仙地方は21日、前日までのぐずついた天気から一転してさわやかな秋晴れが広がり、各地で黄金色に実った稲刈り作業が行われた。山あいに響くエンジン音は、収穫の秋到来を告げる。

 のどかな農村風景が広がる住田町上有住の寒倉地区。生産委託を受けている上寒倉の瀬川新八さん(65)は、青空の下でコンバインを使った刈り取り作業で汗を流した。同日は「あきたこまち」を育てている田約0・7㌶で収穫した。
 瀬川さんは上有住内の約5㌶で生産を手がける。先週末に一部行ったが、18日以降は降雨に見舞われ、ようやく本格化を迎えた。近隣に暮らす坂井清さん(73)が作業を手伝い、収穫したもみ米を軽トラックで乾燥場に運んだ。
 先月は台風10号が気仙を直撃するなど、今年は台風の当たり年となっているが、現段階で影響はみられないという。今月20日には本州沿岸を台風16号が縦断したが、瀬川さんは「あまり被害がなくて良かった」と、安堵の表情を見せる。
 「今年の出来はまずまずじゃないか。この時期にコンバインを動かすのは、やはり気分がいいね」とも語る瀬川さん。一面に広がる黄金色を眺め、笑みをこぼした。今月中にはすべて終わる計画という。
 近隣の田では、下寒倉の高橋新太郎さん(85)が収穫作業。25日(日)午前10時から3時まで上有住の滝観洞観光センターで開催される「秋の味覚まつり」では、この収穫米が昔ながらの釜で炊き上げられ、来訪者に無料でふるまわれる。
 17日に一部刈り取ったあとは、雨の影響で足踏みが続いた。関係者は「20日は雨の量が思ったよりも少なくて、田に機械を入れることができた。間に合いそうで良かった」と胸をなでおろした。
 気仙管内の稲刈りは、例年9月下旬から本格化する。各地の田ではすでに黄金色の稲穂が頭を垂れ、好天予報の今週末から来週にかけて各地で収穫風景が多くみられそうだ。
 東北農政局発表の作柄概況(8月15日現在)によると、気仙3市町を含む岩手県東部は平年に比べ「やや良」となる見込み。県全体では穂数、全もみ数、登熟とも「平年並み」で推移している。