今年で最後の開催に、30日に第30回生出木炭まつり/陸前高田

 陸前高田市矢作町の生出地区コミュニティ推進協議会(菅野征一郎会長)が主催する「第30回生出木炭まつり」は30日(日)、生出多目的集会センターで開かれる。「紅葉と名水の里」として同地区をPRし、特産品販売のほか、子どもが楽しめるプログラムも多数企画してきた秋恒例の催しだが、主催者の高齢化などに伴い今回の開催をもって最後とする。

毎年開会後にすぐ完売する木炭をはじめ、生出の産物などを販売。色づき始めた里山の風景も楽しめる

毎年開会後にすぐ完売する木炭をはじめ、生出の産物などを販売。色づき始めた里山の風景も楽しめる

 昭和62年から始まった生出地区最大のイベント。木炭の原料となるのがスギ人工林の間伐材であることから、地域の森林整備や雇用の創出、新たな産業の構築、地域活性化などを目的に開催してきた。
 会場には同地区で作った木炭や竹炭、農産物の即売コーナーを開設。特に炭製品は、常用する家庭が少なくなったとはいえ着実な需要があり、品質もよいことから、開会直後に売り切れる人気商品となっている。
 また、これまでは地区内にある「炭の家」での炭焼き体験なども行い、生出の地場産品に対する理解を深める機会としていたが、木炭の生産者は年々減少。平成23年に起きた原発事故の影響で市有林樹木の払い下げがなくなるなど、原料を確保できない状態も続く。
 さらに、同まつりを立ち上げ、毎年企画してきた主催者の高齢化が顕著に。地域住民も同様で、イベントへの協力を得るのが困難になっていることから、30回目の節目となる今年でいったん区切りをつけることになった。
 菅野会長(75)は「ほかから原木を譲ってもらったり、自分たちの山から木を切り出すなどして炭を作ってきたが、それも難しくなってきた。木炭を『ぜひほしい』という方もいるし、やめてしまっては地域が落ち込んでしまうという思いもある」と残念がる。
 しかし、「地域活性のためにも、子どもたちを楽しませるような内容に変更して催しを続けていければ。今回もツリークライミング(専用ロープや安全帯などを使う木登り遊び)体験会など新しい試みも行う」といい、紅葉の季節のイベントに多くの住民の来場を呼びかける。
 当日は昼食時に700食限定で田舎おにぎりと芋の子汁を無料サービスし、焼き魚・焼き鳥の販売を行う。展示コーナーでは木炭発電車や木酢液、地区内のさまざまな行事の写真、同好会作品などを展示する。 
 アトラクションとして、郷土芸能「生出神楽」や気仙中生による「けんか七夕太鼓」を披露。イワナのつかみどりといった清流が自慢の里らしい催しも。手作り竹とんぼ、弓矢など昔遊びコーナーを常設し、もちまきも2回行う。
 開催時間は午前9時30分から午後1時30分まで。