フェンシングで世界へ、大中3年佐藤さん 「チームジャパン」の一員に

▲ 今後の飛躍が期待される佐藤さん=大船渡町

 大船渡市立大船渡中学校3年の佐藤琴美さん(15)は、今月以降ヨーロッパ各国で行われるフェンシング競技カデ(17歳未満)の国際大会に出場する。平成24年度に「いわてスーパーキッズ」に選ばれ、持ち前の瞬発力などが関係者の目にとまり、昨年から本格的に競技を始めた。「チームジャパン」の一員として将来を見据えたトレーニングを積みながら急成長を遂げており、飛躍に期待が集まる。

 

才能開花し急成長

 

 大船渡小時代はミニバススポ少に所属。5年生の時に県体育協会による「いわてスーパーキッズ」の一員に選ばれ、各種研修に参加しながらスポーツ選手として資質を高めてきた。
 スーパーキッズ活動では沿岸で競技人口が少ないスポーツの体験機会があり、特性が評価される。佐藤さんは瞬発力が求められる競技で評価が高く、とくにフェンシングへの適性が認められた。
 中学生となり、今後打ち込む競技の絞り込みを考えていた中、昨年4月に日本スポーツ振興センターから日本フェンシング協会が受託している育成強化計画事業を関係者から勧められた。応募すると可能性を見いだされ、指定選手となった。
 この事業は4年後の東京五輪を見据え、身体能力の優秀な選手を選抜し、とくに選手層が薄いとされる男子サーブルと女子エペのアスリート育成を目指す。日本人選手が国際大会で活躍を見せるフルーレ種目は主に上半身が攻撃の有効面となっているが、エペの有効面は全身でより重い突きが求められる。
 週末を利用して東京都にある味の素ナショナルトレーニングセンターに通い、各競技の国内トップレベルの選手が集う中で体力・技術向上に励む。平日は週2回前後、一関フェンシングスポ少の一員として練習している。
 育成強化事業は五輪でのメダリスト輩出を見据える一方、佐藤さんは競技人としてまさにゼロからのスタート。本来右利きだが、より競技で有利になるよう左手で剣を持つ構えで立つ。食事では、はしを左手で持つなど生活習慣も〝競技仕様〟。常に中腰の姿勢で相手に臨むため、大腿部は見違えるほどたくましくなった。
 全国各地で行われる中高生対象の大会に出場し、トップレベルの選手と切磋琢磨しながら試合勘や実戦力を養ってきた。本年度は各大会の入賞者に与えられるポイントランキングでも上位に入り、「チームジャパン」の一員として発祥の地であるヨーロッパへの海外遠征、合宿メンバーに選ばれた。
 今月下旬には「欧州サーキット大会」の出場に向け、オーストリアへと旅立つ。いったん日本に戻るが、11月中旬にはドイツ、フィンランドでのサーキット大会に参戦し、さらにフランスなどでの大会出場も控える。
 高校受験の勉強にも向き合い、大船渡中から全面的な協力を得ながら一流アスリートへの階段を上り続ける。「自分としてはフットワークが得意。一人で東京まで移動しなければならないとか、人間的にも成長できていると思う。自分でも成長を実感できるのが今は楽しい。まずはカデクラスで世界選手権に出られるよう、剣の動きなどに磨きをかけたい」と、意欲を見せる。