グラウンド復旧工事進む、応急仮設住宅撤去終えた5小中学校/大船渡市

▲ 仮設住宅を撤去したグラウンドで開放に向けた復旧工事が進む=猪川小学校

 応急仮設住宅の撤去作業を終えた大船渡市内5小中学校のグラウンドでは現在、子どもたちが利用できるようにするための復旧工事が進んでいる。早い学校では11月上旬、年内には5校すべてで学校側に引き渡しとなる見込み。東日本大震災の発生から5年7カ月余りが経過する中、市は工事を進める県や施工業者などと連携を図りながら、子どもたちの教育環境確保に努めたいとしている。

 

年内には引き渡しへ

 

 市内の公有地、民有地など37カ所に1801戸が整備された応急仮設住宅。盛、大船渡北、末崎、蛸ノ浦、猪川の各小学校と、大船渡、末崎、第一、綾里の各中学校の校庭にも建設された。
 市は平成26年度に公表した「応急仮設住宅撤去・集約化計画」に基づき、仮設住宅の撤去、集約化に取り組んでいる。実施に当たっては計画を見直しながら、特に小中学校に整備した仮設住宅の早期撤去を進めてきた。
 これまで、綾里中グラウンドに整備された黒土田と、上平(大船渡町)合足(赤崎町)の3団地で撤去を終了。綾里中グラウンドはその後の復旧工事を経て、今年8月に仮設住宅撤去後の市内第1号として使用が再開された。
 7月には、盛(沢川)大船渡北(山馬越)末崎(山岸)猪川(轆轤石)の各小学校と、末崎中学校(平林)で仮設住宅の撤去工事がスタート。
 解体作業は2~3カ月にわたって行われ、5団地合わせて54棟312戸(大船渡北は26年に1棟4戸を解体済み)を撤去した。
 その後、県発注によるグラウンド復旧工事に着手。施工業者は盛小と猪川小が岩手基礎工業㈱(北上市)、末崎小が㈱たかしん興業(花巻市)、大船渡北小と末崎中が㈱照甲組(同)となっている。
 グラウンド復旧工事は測量から始まり、表土をはぎ取って砕石を入れ、さらに表層土(クレー)を敷きならすなどの作業を経て、表面処理を施す。仕上げ後は陸上用トラックや野球用のポイント出し(印付け)を行い、県の工事検査を受けた後に学校へと引き渡される。
 盛小は工期が9月10日から11月8日で、すでに仕上げを終えて県の事務手続きなどを控える。引き渡しは11月上旬の予定で、5校の中では最も早く、小学校では第1号の開放になる見込み。
 猪川小の工期は9月17日から11月5日で、現在は表層土の施工が進む。引き渡しは、11月上旬を計画している。
 末崎小は、9月27日から11月25日までの工期。砕石を敷く作業と古い土の運搬作業を並行して行っており、引き渡しは11月下旬から12月上旬を予定する。
 大船渡北小と末崎中の工期は、今月12日から12月10日。北小は測量中、末崎中は測量を終えて表土のはぎ取りに入る段階で、いずれも12月中には引き渡しとなる見込み。
 学校グラウンドに建てられた応急仮設住宅では、第一(宮田)、大船渡(永沢)の各中学校で12月から撤去を予定。グラウンド復旧工事は、来年4月からを計画している。
 市は引き続き、県や関係機関と連携し、児童生徒の教育環境確保に向けた取り組みを進めていきたいとしている。