陸前高田との縁深め、シンガポールからツアー(動画、別写真あり)

▲ シンガポールからの支援によって整備された市コミュニティホールで、戸羽市長㊨らが同国の観光客を迎えた=陸前高田

今後も定期的に実施

 

 シンガポール共和国の訪日大手旅行会社フォロー・ミー・ジャパン(Follow Me Japan、西村理佐社長)による東北ツアーの一環として24日、同国の人々らおよそ20人が陸前高田市を訪れた。旅行者たちはカキ養殖の番屋などを見学したほか、シンガポールからの多大な支援で建設された高田町の市コミュニティホールも視察。同市関係者や住民が歓迎し、感謝の意を伝えた。
 昨年度「VISITTAKATA推進プロジェクト」を立ち上げ、外国人旅行者の受け入れ拡大に向けて取り組む同市。今年7月には戸羽太市長らが同国を訪問し、「ホール建設などで縁が深い陸前高田へ、ぜひ観光に来てほしい」とPRした。
 これを受けフォロー・ミー・ジャパンが急きょ、被災地などをめぐる東北ツアーの旅程に同市を組み込み、今回の初訪問が実現。旅行者17人と関係者らはまず旧道の駅タピック45を訪れ、震災追悼施設に手を合わせるなどした。
 続いて米崎町の脇之沢漁港ではカキ養殖家の大和田晴男さんが、震災後から現在までの漁家の取り組みや、大津波直後も地元の中学生を対象とした養殖体験授業を続けたことなど、カキ養殖家たちの意気込みと誇りについて熱く語った。
 大和田さんは「まだ身が小さく、〝本当の〟おいしさにはなっていないが」と言いながら蒸したてのカキも提供。最初は遠慮がちだった旅行者たちも、養殖の方法など熱心に質問しながらカキを一つ口にすると「オイシイ」と笑顔を見せ、2個、3個と次々に手を伸ばした。
 同国とシンガポール赤十字社が創設した「ジャパン・ディザスター・ファンド2011」を活用し整備されたコミュニティホールでは、戸羽市長をはじめ市関係者、地域の女性団体会員らが盛大に出迎え。市長は「皆さまのご支援によって建てられたこの美しいホールには、たくさんの市民が集い、忘れていた笑顔を見せ、将来に向けた話をしている」と述べ、ホールが地域住民に活用されていることを感謝とともに伝えた。参加者はうれしそうに拍手し、館内に掲示された震災関連パネルなどに見入っていた。
 復興庁の東北観光アドバイザーも務める西村社長(45)は「これからも継続的に陸前高田へ旅行者をお連れし、復興へ向けて頑張っている皆さんの姿をお見せしたい」とし、定期的にツアーを企画していく意向を示した。