計画通りの融資返済開始時期、三木・ランバーの再建方針示す/住田町

▲ 三木・ランバーに関する住民説明会をスタート=住田町

 住田町は14日、三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)に関する住民説明会を始めた。両事業体は平成19年度までに町から計7億9000万円の融資を受け、償還期間に入った26年度以降計画通りの返済に至っていない中、三木などがまとめた経営再建方針について町が説明。従業員一人あたりの売上高を伸ばす改善を進める中で、町に対する計画通りの返済は「遅くとも平成31年度から」との内容となっている。説明会は22日まで、計5会場で行われる。

 

「遅くとも31年度から」

住民説明会スタート

 

 初日は下有住地区公民館で開かれ、地区住民や町議ら12人が出席。説明側には多田欣一町長、横澤孝副町長、千葉純也林政課長、三木に派遣されている菊田賢一同課長補佐が並んだ。
 説明によると、町による両事業体への融資は18年4月、19年10月、20年1月に実施し、総額は三木は4億円、ランバーは3億9000万円。償還は26年度から50年度まで25年間で、毎年3000万円余りを返済する計画だが、現時点では573万円にとどまる。
 これとは別に、町有林原木未納額(19~27年度分)は2億2584万円に上る。27年度もランバーへの売上金約2000万円に対し、納入は580万円と未収金がさらに膨らんだ。
 両事業体とも、決算は2期連続の赤字。27年度の決算状況は、三木は売上高が13億4494万円、純損失は6229万円。ランバーの売上高は2億2255万円、純損失は4047万円だった。
 昨年10月以降、同じ団地内に工場を構えるけせんプレカット協同組合の泉田十太郎専務を支配人として招き、経営体制改革に着手。体制変更に伴う人員減少を乗り越え、少人数による効率的な生産体制の構築に取り組んできた。
 28年度上期の決算状況をみると、4~10月の売上高総計は三木が7億5156万円で、純損失は1505万円。ランバーは1億5074万円で、純損失は1398万円となっている。
 月別にみると、三木は6月に黒字を達成したが、7月に乾燥機、8月にボイラーの各修繕が入り、連続で赤字。9、10月は黒字を達成した。ランバーは5月に黒字となったものの、6月以降赤字が続く。県による経営支援アドバイザーの検証では、泉田支配人は2事業体に常駐しておらず、経営意思の徹底に不十分な点が見られるなど人材不足の課題も指摘している。
 三木の経営再建方針=別表参照=によると、これまでの改革で従業員一人あたりの売上高が伸びるといった成果がみられる中、さらなる生産性向上を目指す。売上高の安定化を図るため、けせんプレカットとの連携を強化。これまで12%にとどまっていた売上割合は今年10月には28%にまで上昇しており、今後も維持する。
 町への融資償還に関しては、金融機関への返済が大幅に減少する3年後の31年度から、当初計画通りの金額が並ぶ。町側は「(28~30年度は)最低でもこの額は返すという方針」「遅くともこの時期からはこれくらいの額を返せるということ」との認識を示し、今後はさらなる償還に向けて保証人らにも強く求めるとしている。
 説明後、住民からは「どのようにして目標を達成するのか具体的な説明を」「今までもダメだった。計画通りに本当にうまくいくのか。また借り入れが必要になるのでは」といった厳しい声が出た。一方で「つぶれれば、町民にとっても恥。何とかもう少し様子をみるのがいいのではないか」と、理解を寄せる意見もあった。
 また「事業体本体が説明会に来なければ、何ともならないのでは。この説明会の目的は」との声も。これに対して多田町長は「返せる状況になるまで再建をすると取り組んでいる。今、倒産させると、何もいいことはない。お互いに心配ではあるが、みんなで見守り、育ててほしいつもりで説明会を行っている」と語った。
 説明会は15日夜にも、大股地区公民館で開催。今後は18日(金)に五葉地区同、21日(月)に上有住地区同、22日(火)は役場町民ホールで予定している。時間はいずれも午後7時から。

161116-1面三木ランバー再建方針