無理心中の可能性も、母娘2人死亡事件/住田町世田米

▲ 16日朝から現場検証を行う県警本部と大船渡警察署員=住田町世田米

 住田町世田米地内の住宅で15日、女性2人が死亡しているのが見つかった事件で、県警本部と大船渡警察署は16日朝から現場検証を行った。外傷の有無や凶器などは明らかにされていないが、捜査本部が立ち上げられていないことなどから、無理心中も視野に入れて捜査が進められているとみられる。

 

「信じられない」と近隣住民

 

20161117-7 母娘死亡 地図 亡くなったのは世田米字窪田106の4、大和田正一郎さん(84)の妻・シズ子さん(83)と長女・イツ子さん(62)。
 事件は午後3時すぎ、「女性2人が血を流して倒れている」と、正一郎さんから連絡を受けた親戚が119番通報したことで明らかになった。警察官が正一郎さんの自宅に駆けつけたところ、シズ子さんとイツ子さんが倒れていたという。
 「信じられない。一体何があったのか」と話すのは、同じ下在町内会に住む60代の男性。シズ子さん、イツ子さんとも気さくな人柄で、特にシズ子さんは、誰にでも話しかける性格で近隣住民から親しまれていたという。
 イツ子さんは2人きょうだいの長女で、夫とともに正一郎さん夫婦と、国道340号沿いの平屋建て住宅に同居していた。
 正一郎さん夫婦は、酪農と農業を営んでいたが、数年前に酪農を廃業。
 シズ子さんは、足腰の衰えは多少あったが、庭の草取りや畑仕事でよく外に出ていたという。9月には下在町内会の敬老会に出席し、11月7日には「下在寿老人クラブ」の温泉日帰り旅行にも参加していたという。
 民生委員を務める70代男性は「旅行の時は仲間同士で楽しく話していた。深刻な様子はなかった」という。また、「しっかりした、きれいなおばあさん。夫婦の仲も良かった」と事件が信じられない様子で話していた。
 イツ子さんは、町内のブロイラー工場に勤務していたが、「親の介護に専念するため」と最近退職していた。
 町によると、大和田さん宅から、家庭内で何らかのトラブルがあったという相談は受けていないという。
 近所に住む60代女性は「思いもよらないことだけど、家庭のことは私たちには分からないから…」と肩を落としていた。