「見える化」研究実施へ、小規模生産者と給食セが地産地消へ情報連携/住田町

▲ 初日は4議員が一般質問=住田町議会

 住田町議会定例会(12月議会)は6日に開会し、会期を9日(金)までの4日間と決めたあと、瀧本正德、佐々木信一、村上薫、菅野浩正(いずれも無所属)の4議員による一般質問が行われた。学校給食における地産地消の推進に向けて当局は、給食センターと町内の小規模生産者をICT(情報通信技術)で結び、給食での需要と各生産者が供給できる野菜類とのマッチングを図る研究事業を岩手県立大学と共同で進める方針を示した。

 

一般質問で方針示す
住田町議会12月定例会開会

 

 この取り組みは、農業振興を取り上げた菅野議員に対する答弁で当局が説明。菅野議員は「平成31年を目標に、学校給食における町内産食材割合を40%とする目標値を掲げているが、その達成に向けた体制づくりの考えは」と質した。
 町は19年度に策定した町総合計画に基づき、学校給食における野菜やキノコ、果物の割合を40%と設定。重量割合を数値化するもので、27年度は13・91%にとどまる。自給率100%の米飯や、自給率が高い鶏肉、豚肉などを含めると52%となっている。
 多田欣一町長は、地元生産者の作付実態を十分に把握しきれないといった課題を説明。町内に多い小規模生産者の供給可能量を「見える化」することでさらなる活用につなげようと、岩手県立大の地域協働研究に参画する方針を示した。
 給食センターが求める野菜の種類や、生産者側が育てる野菜の供給可能量などを、インターネットで情報共有できる仕組みを目指す。生産者側がタブレットなどで確認できる形が想定される。
 佐々木議員も農業振興を取り上げ、本年度中の策定を目指す第6次農業基本計画の農業所得目標について説明を求めた。多田町長は、27年度策定の町人口ビジョン・総合戦略で31年度の町民所得目標を255万円に設定したと説明。これに基づき、1経営体あたりの目標額は、労働力1・3倍を反映させた約330万円とする考えを示した。
 再質問では、第5次に盛り込まれていた果樹生産の現状を追及。横澤則子農政課長は「取り組みは行ったが、目標に対する成果としては不足している」と答弁。新計画下での新たな作物展開に関しては、農業現場の声を生かした取り組みが重要との認識を示した。
 トップ登壇の瀧本議員は、林業振興策で論戦。町が「森林・林業日本一の町づくり」を掲げる中、課題や進ちょく状況に迫った。
 多田町長は木材流通システムの充実・強化、環境に配慮したFSC森林認証、木質バイオマス、担い手確保、森林環境教育など総合的に森林・林業に取り組むことでの日本一を目指していると説明。「こうした取り組みに加え、木造仮設や木造庁舎の整備、全国木のまちサミットなどを通じて全国的に森林・林業のまちとしての認知度は高まっている」との認識を示した。
 一方で課題では、私有林での再造林促進、林業の担い手確保、獣害対策などを列挙。さらに「町産材流通システム充実のため、木工団地2事業体(三陸木材高次加工協同組合、協同組合さんりくランバー)の経営再建も当然、最重要課題である」と述べた。
 村上議員は地域防災計画を取り上げる中で、8月30日に襲った台風10号被害からの教訓を追及。「発災直後に町長は(被災規模が大きい)岩泉町を訪れているが、そこで何を感じ、何を当町の参考にすべきと考えたか」と質問した。
 多田町長は、岩泉町は山間の狭あいな土地に川や道路、住宅、農地があり、住田町に類似していると説明。「参考にすべき点はすべてである。犠牲者を出さない方策、早めの避難が重要で、消防団、自主防災組織の避難誘導の徹底がされるべきと思った。ハード面では、河川改修や道路の整備促進に向けて国、県に働きかけているが、進度は遅いと感じている。私たちでできることでは、とくに山林整備をきっちりやらないといけない」と語った。
 当局からの提出議案は、28年度一般会計補正予算(第6号)など8件で、最終日に議案審議、採決が行われる。日程は次の通り。
 ▽7日=本会議(一般質問)、常任委員会▽8日=休会▽9日=本会議(議案審議、請願審査報告)