多田住田町長が勇退へ、きょうにも表明か

 住田町の多田欣一町長(71)=世田米、無所属、4期=は、来夏の任期満了に伴う町長選に出馬せず、今期限りで勇退する意向を固めた。町議会12月定例会の最終本会議がある9日にも、何らかの意思を示すものとみられる。

 

4期16年今期限り

 

4期目の任期が残り8カ月を切った多田町長=住田町

4期目の任期が残り8カ月を切った多田町長=住田町

 今月3日に町内で開かれた後援会(紺野一夫会長)の幹事会では、「本人に一任する」との結論でまとまったという。多田町長は、自身の健康状態などを考慮しながら判断したとみられる。
 町長在職15年を迎えた今年8月の段階では「出処進退は自分で決める」と語っていた。支持者の間では町政課題解決や地域振興策をけん引するリーダーとして5期目続投の期待も集めていた半面、今任期を集大成として見る向きもあった。4期目の任期は、平成29年8月4日までとなっている。
 多田町長は連続3期務めた菅野剛前町長の勇退表明を受け、平成13年に町総務課長を辞して立候補。無投票で初当選を飾った。無投票での再選に続き、3選時は新人との一騎打ちを制した。
 25年の前回選は後援会から出馬要請を受け「東日本大震災を受け、遠方の自治体やNPO、企業との連携ができている時であり、このつながりから生まれたパイプを断ち切りたくない」「町民所得の向上と人口減対策を一番大きな町政課題ととらえ、引き続き取り組む」と立候補。無投票で4選を飾った。
 いずれも無所属での出馬で、連続4期は昭和30年からの町制下では最長となっている。
 多田町長からは、早ければ9日にも自身の進退に関する態度表明があるとみられる。勇退決断の理由に加え、これまで取り組んできた施策や地域課題解決の進ちょくなどをどう総括するかも注目される。
 具体的には、森林・林業日本一を目指す町づくりや三陸木材高次加工協同組合・協同組合さんりくランバーの早期経営安定化、木造仮設住宅整備をはじめ独自で東日本大震災後方支援策を展開した経験の発信、医療・福祉の充実、世田米商店街や役場周辺の景観形成などが挙げられる。また、後継候補を擁立するかも焦点となる。
 現段階では、新人立候補の動きは表面化していない。多田町長の態度表明までは「情勢見極め」が続くとの見方が広がっていた。
 住田町では前回選以降、知事選、県議選、町議選と国政以外の選挙では無投票が続く。政治分野の担い手不足が深刻さを増している中、現職勇退によって住民有志による立候補・擁立の動きや、中長期を見据えたまちづくり議論などへの関心の高まりが予想される。
 次期町長選は、昭和30年の町制施行以来17回目。平成25年の前回選は7月16日告示だった。今回も7月中旬から下旬にかけての選挙日程が予想される。
 8日現在、同町の有権者数(18歳以上)は5159人(男2512人、2647人)。前回選の告示前日(20歳以上)と比べて、218人少ない。