多田町長「今期限り」、議会最終本会議で勇退表明/住田町

▲ 4期16年での勇退を正式に表明した多田町長=住田町議会

 住田町議会定例会は9日、議場で最終本会議が開かれた。一般会計補正予算など議案8件と請願2件、発議3件を可決・採択後、多田欣一町長が発言を求め、今期限りでの勇退を表明。「今期限りで町長の職を辞することにした。理由は私自身の健康状態。残された期間は全力で町政運営に務める」と語った。 

 本会議終了後、東海新報社などの取材に応じた多田町長は「今も体の調子がすべていいわけではないが、さらに(新任期の)来年8月から4年間というのは、とてももたないだろう。途中で辞めるようなことがあっては、いろいろな人に迷惑をかける」と、勇退の理由を説明。持病に関しては具体的には明かさなかったが「主治医からも『次はダメだぞ』と言われている」と語った。
 今年6月ごろから考え、最終本会議前日まで支援者らを回ったという。続投を求める声も受けたというが「納得はしていただけたかな、と自分では思っている」と述べた。
 残り任期が半年以上残る中での表明に関しては「私が町長選に初めて出馬したときは、(任期最終年の)3月議会後に前町長が突然辞めると言われた。そのあとでの立候補の準備は大変だった思いがある。新たに出る意欲を持った人たちには、期間があったほうがいい」と説明。後継候補の擁立は否定した。
 本会議で可決したうち、当局提出議案は▽職員の勤務時間・休日及び休暇▽一般職の職員給与▽特別職の職員給与並びに旅費及び費用弁償▽介護保険──に関する条例の一部改正と、一般会計、簡易水道事業、下水道事業、介護保険の各特別会計の補正予算。
 このうち一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ1764万円を増額し、総額を54億6208万円とするもの。
 歳出では、条例改正に伴う職員給料、職員手当に加え、総務費では応急仮設住宅火石団地道路舗装・地中給排水管撤去工事などに653万円、農林業費ではFSC―COC認証普及促進事業費補助金として、300万円を盛り込んだ。
 請願「農協改革・指定生乳生産者団体制度維持」(請願者・大船渡市農協)と「若者も高齢者も安心できる年金制度の実現を求める」(同・全日本年金者組合県本部、同大船渡支部)はいずれも採択。同請願内容の意見書を衆参議長や総理らに提出する議員発議も議決したほか、同じく議員発議「地方議会議員の厚生年金制度の加入を求める」も可決した。