当局が基本計画案示す、小中学校適正規模等/ 大船渡市

▲ 市内小・中学校の適正規模などにかかる基本計画案を説明=大船渡市議会

 大船渡市は9日、市議会全員協議会で「市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」の素案を示した。市内児童生徒数の減少が進む中、計画は適正な児童生徒数や学級数を確保し、活力ある学校づくりを進めていこうとのもの。児童生徒数の推移、校舎の建築経過年数などから検討対象校を抽出し、具体的な統合の組み合わせも盛り込んだ。市は20日(火)からパブリックコメントも行い、市民の意見も踏まえて年度内の策定を目指す。

 

具体的な統合の組合せも


 市は少子化が進む中、小中学校の適正規模・適正配置について中長期的な視野に立った検討を図り、昨年12月に「市立小・中学校適正規模等基本方針」を策定。計画は、基本方針の内容をより具体化し、取り組みを実践的に進めるものとなる。
 計画案によると、期間は平成29年度から38年度までの向こう10年間で、初年度から33年度までを前期、34年度から38年度までを後期と位置付け。必要に応じて適宜見直しを図り、地域からの要望などがあれば計画とは別に柔軟かつ迅速に対応するとしている。
 児童生徒数の推移では、中学校全8校で28年度は924人だが、6年後の34年度には744人(本年度比19・5%減)、その6年後の40年度には718人(同22・3%減)に減少。学級数は、38学級から33学級に減る見通し。生徒数がほぼ横ばいなのは第一のみで、残る7校は10%台から40%台の減少率となっている。
 小学校12校(蛸ノ浦は28年度のみ)の全体児童数は、28年度が1563人で34年度には1448人(同7・4%減)に減少。学級数は、81学級から71学級に減るとみられる。増加は盛、越喜来、猪川の3校にとどまり、大船渡、末崎、赤崎、日頃市、大船渡北、吉浜の6校は10%台から30%台の減となる見通し。複式学級は、吉浜で29年度に1学級、31年度以降に2学級、日頃市で34年度に1学級生じる見込み。
 学校施設の老朽化では、中学校が越喜来と第一が築50年以上経過し、綾里と大船渡は築30年以上。小学校では末崎と大船渡北が築40年を超え、大船渡、猪川、日頃市も築30年以上がたつ。耐震化は対象施設で本年度までに完了する見込みだが、全体的に老朽化が進行しており、学校の適正配置と整合を図りながらの計画的な改修、改築に取り組む必要がある。
 これらを踏まえ、市は検討対象校を抽出。中学校は全校、小学校は6校が対象となった。
 このうち、中学校は、A「第一・日頃市」、B「大船渡・末崎」、C「赤崎・綾里」とする統合の組み合わせを提案。越喜来、吉浜は「他校との統合を検討する」が、その組み合わせは「地元と協議する」とした。
 統合後の校舎は、Aが第一、Bが大船渡、Cが赤崎としており、いずれも計画の前期期間に実施したい考え。末崎中校舎は統合後、末崎小校舎としての利用を検討している。
 小学校は、大船渡、大船渡北、末崎、猪川、日頃市、吉浜が対象。適正化に向けては、「今後の児童数の推移を注視し、状況によっては統合を検討」として、「大船渡・大船渡北」の統合の組み合わせを示した。
 末崎と猪川は「当面、現状のまま」、日頃市は「今後の児童数の推移を注視し、状況によっては統合を検討」、吉浜は「他校との統合を検討」との方向性を提示。日頃市と吉浜は、統合の組み合わせを「地元と協議する」とした。
 計画ではこのほか、学校、地域、児童生徒への配慮、通学上の安全確保、廃校施設の取り扱いなどにも言及している。
 市は計画案の内容を20日付の市広報に掲載し、市ホームページ、本庁舎や出先機関でも公開。同日から1月16日(月)までパブリックコメントを行い、寄せられた意見を踏まえたうえで、年度内の計画策定を目指す。
 議員らは通学路やスクールバスの運行、新たな統合の組み合わせ、複式学級のメリットとデメリットなどに関して質問。地域から学校がなくなった場合の影響を危惧する声も寄せた。
 また、住民らと十分な協議を求める発言も多かった。今野洋二教育長は「地域が何を望んでいるか柔軟に考えながら、じっくり話し合わなければならない地域はじっくりと、推進を望む地域には進めていく対応をしていきたい」と述べた。