「医・食・住をベースに」、神田氏が町長選出馬へ決意/住田町

▲ 記者会見に臨んだ神田氏㊧=世田米

 8月4日の任期満了に伴う住田町長選に出馬意思を固めた会社役員・神田謙一氏(57)=下有住=は先月30日、正式に立候補を表明した。記者会見を開いた神田氏は「住民目線を大切に『医・食・住』をベースに取り組みたい」と強調。今月中の後援会発足を目指す動きも示した。
 記者会見は、世田米の松嶋家で行われた。神田氏のほか、おじで町顧問の紺野哲男氏(84)、住田フーズ㈱ブロイラー生産部会の元部会長・泉金一氏(77)、元町議で公私にわたり親交があるという佐藤啓一氏(79)と鈴木正巳氏(76)、神田氏の近隣に住む吉田次男氏(66)が出席した。
 神田氏は、これまで地域の役に立つ人材になりたいと獣医師として畜産業にかかわってきた中、数年前から「将来町長を目指してくれ」との声を複数受けていたものの、現在の業務に専念するために断ってきたという。4期目現職の多田欣一町長(71)が先月に勇退を表明したあと、自問自答を繰り返したと明かした。
 そのうえで「誰かがやらなければとの思いや住田を愛していること、人として育てられた地域への思いが大きくなり、決意に至った」と説明。選挙戦は無所属で臨み、政党に公認・推薦も求めない方針。会見出席者を発起人的な位置づけとし、地元・下有住地区などの広がりから後援会組織の充実を図る考えも示した。
 現状における町政の最重要課題の一つとして挙げたのは、人口対策。「人口が少なければ、いろいろなところで弊害が出てくる。こうすれば増えるというような施策はなかなか見つからない。いろいろ模索していくしかないだろう」と見据えた。
 決意で掲げた「医・食・住」の方向性として、「医」では高齢化社会に対応した医療のあり方、「食」は農業・畜産施策、「住」は環境や自然、防災面の充実に意欲を見せた。多田町政が力を入れている「森林・林業」については「私自身あまり分かっていない部分もあるが、教育分野の『森の案内人』も含めたトータル的なものとして展開していくべきものと思っている。良いところは引き継ぎ、見直すところは見直したい」と述べた。
 神田氏は多田氏後援会には入っておらず、自身の出馬は「後継とはとらえていない」という。多田氏については「町政振興に向け、一生懸命取り組んでくださった方」「大変で、体力的にはきついとの話は(多田氏から)聞いたことはあった」と語った。
 下有住出身の神田氏は、昭和52年住田高校卒業。59年に日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)獣医学部獣医学科修士課程を卒業後、同年から住田町農協の家畜診療所で勤務。合併に伴う陸前高田市農協勤務を経て平成19年に住田フーズ㈱に転籍し、24年から常務取締役を務めている。
 20年10月に就任した町教育委員は現在3期目。会見では常務職は今年6月の株主総会まで、教育委員も当面続ける意向を示した。
 住田町長選は7月中の告示・投票の日程が想定される。正式に出馬を表明したのは神田氏が1人目で、当面は選挙初挑戦となる同氏支持の広がりや、他候補擁立の動きがどう進むかが注目される。