「生きた博物館」形成へ、市民メディア推進協議会が来年度から/大船渡

▲ 昨年行われたプレワークショップの様子

ワークショップなど開催

 

 大船渡市のNPO法人防災・市民メディア推進協議会(鈴木英彦理事長)では来年度から、「フィールドミュージアム事業」を展開する。まちづくり会社や大学、各種団体と連携しながら、従来のような箱型のミュージアムではなく、地域住民と触れ合いながら震災の体験を共有していく「生きた博物館」を目指す。現在、助成金を申請しているほか、YAHOO!JAPANネット募金でも寄付を集めている。

 同事業は、市や東北大学、㈱キャッセン大船渡、みんなのしるし合同会社、一般社団法人三陸国際交流協会、復興地図センターと連携しながら、震災の記録をまとめ、誰もが興味を持ちやすい形へとコンテンツ化することを目指している。
 寄付金や助成金は、ワークショップの開催費などに充てる。被災の体験を生かした非常食の開発や被災の体験をベースにした物語の演劇、中高生が被災者を取材してコンテンツ化する──などさまざまなワークショップを計画しており、㈱キャッセン大船渡などが場所を提供していく。お年寄りの知恵や昔話を若い人たちへと伝える〝昔ながら〟のコミュニティー形成により、震災後のコミュニティー崩壊という地域課題解決も目指す。
 昨年12月にはプレワークショップが開かれ、一般市民や高校生ら8人が参加して三陸独自の食材を使った非常食づくりを行った。
 4月25日(火)には大型クルーズ船が大船渡港に入港することから、客船利用者向けのワークショップも計画。
 これから本格的にまちびらきが始まろうとする中、被災地として知られてきた三陸沿岸を、震災の記憶を資源とした防災発信拠点のまちとして、研修や観光の誘致を推進していく。
 事務局の三田地瞳さん(38)は「建物だけできあがるのがまちづくりではなく、コミュニティー形成、人とのつながりという『心の復興』もやらなければいけない。そういうことに関わっていきたい。情報発信をしながら、大船渡の復興につなげていければ」と話していた。
 ネット募金は、YAHOO!基金「知らせる、つなげる」ページから。クレジットカードまたはTポイントカードで寄付できる。
 さらに、「YAHOO!基金2016年度助成プログラム」東日本大震災復興支援部門のコレクティブインパクト型コース(多機関連携型で新たな手法で試みる活動)に助成を申請中。対象期間は来年度から最長2年で、助成額は1000万円となる。
 問い合わせは復興地図センター(℡47・3428)まで。