「庁舎、中心地そばに」、商工会と市議らが懇談会/陸前高田

▲ 陸前高田商工会が市議会議員らに、市庁舎建設についての意見を述べた=高田町

 陸前高田商工会(伊東孝会長)と陸前高田市議会議員らによる懇談会は9日、同市高田町の市コミュニティホールで開かれた。同会理事を務める商工業者らが、中心市街地そばに市庁舎建設を望む理由と、その必要性を強く議員に訴えた。
 商工会は昨年11月、市と市議会に対し「市役所新庁舎建設に係る要望書」を提出。「市民生活に直結する施設はできるだけコンパクトにし、利便性を向上させることが、魅力あるまちづくりにつながる。図書館をはじめ公共施設が隣接することで、復興に不可欠な商業の活性化が図られる」とし、高田町の市街地に隣接する場所への整備を要望している。
 市議会3月議会では、市庁舎建設位置について特別多数議決が行われることから、改めて議員に要望を伝えようと、同商工会が同懇談会を企画。この日は同会理事と事務局、企画委員ら約20人が参加し、市議会側からは議員12人が出席した。
 同会は、市から示されている3カ所4案のうち「高田小跡地での新築」を希望。議員からは、高田小が候補に挙がるたび議論となる「安全性の問題」についての言及もあった。これに対しては複数の商店主が、「高田小より手前に商業集積地がつくられ、下和野の災害公営住宅が建っているのに、それより上にある高田小が『安全ではない』と語られることは疑問」と指摘した。
 また、「高田小に庁舎ができた場合、どんな安全対策がとられるのかという話が、市民にまだ理解されていないのではないかと思う」「どこに建てても『100%安全』と言える場所はない。ならばいざというときどう逃げるのか、『必ず逃げる』という個々の意識をはぐくむことのほうが大切では」といった意見も出された。
 事業者らは、「市役所が現在地に建てば、せっかく団結した商業者も、中心市街地から1人抜け、2人抜けとしていくだろう。かさ上げ地は空洞化し、高田は〝中心〟がないまちになる」と切実に要望。「6年近く、ぎりぎりのところで商売してきた。これから先も生き残れるかどうかは、庁舎の位置が大きくかかわる」などと強調した。