震災犠牲者の冥福祈る、普門寺で「ねがい桜」奉納式/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 戸羽市長や金野部長、熊谷住職が合唱団と一緒に並び、陸前高田市民歌を斉唱する場面も=普門寺

帯舞いや合唱も披露


 陸前高田市商工会女性部(金野ヨシ子部長)は23日、米崎町の普門寺本堂で第7回「二度と散らない『ねがい桜』奉納式」を開催した。震災犠牲者のみ霊に見立てた「ねがい桜」を奉納して冥福を祈るとともに、帯を結ぶ動作を踊りに取り入れた「帯舞い」や、地元合唱団による歌声も披露された。
 「ねがい桜」は、震災犠牲者を供養する布製の花。同女性部は京都市のNPO法人「きものを着る習慣をつくる協議会」(中塚一雄理事長)などの協力のもと、死者・行方不明者数に相当する1万8550個を同寺に飾るプロジェクトを展開し、定期的に奉納式を催している。
 この日は1200個のねがい桜が奉納され、これまでの累計は8100個となった。
 関係者ら約70人が出席した式では金野部長、戸羽太市長、中塚理事長によるあいさつのあと、普門寺の熊谷光洋住職が読経。茨城県にある前結び宗家きの和装学苑戸頃支部による「帯舞い」、地元合唱団「コール高田松原」による合唱も披露された。
 このうち、帯舞いには同支部の生徒8人が美しく着飾って出演した。来場者たちは、踊りの中で帯が結ばれていく様子を間近で鑑賞。踊りの最後に、生徒たちが「絆」「結」「願」「夢」といった漢字が書かれたうちわを掲げると、会場からは大きな拍手が送られた。
 一方、地元合唱団のコール高田松原は、メンバー16人で『二度とちらない ねがい桜』を合唱。指揮を務めた千葉久美子さん(米崎町)による『二つの海』の独唱も行われ、来場者を魅了した。
 この2曲は、どちらも中塚理事長が円純庵名義で作詞したものだという。
 当初は2曲だけの予定だったが、3曲目として陸前高田市民歌も斉唱。戸羽市長や金野部長、熊谷住職も合唱団と一緒に並び、ふるさとの良さが詰め込まれた歌を会場いっぱいに響かせた。
 式の最後には、伴奏を務めていた東京在住のピアニスト・黒田真里慧さんによる演奏も。ピアノの繊細な音色を満喫した来場者たちは、ねがい桜や帯舞い、合唱が犠牲者の供養となるよう改めて祈っていた。