震災復興祈願の護摩も、東北三十六不動尊霊場会が記念碑の開眼法要営む/気仙町・金剛寺

▲ 開眼法要と併せて護摩をたき、犠牲者の供養と早期復興を祈願=気仙町

 不動明王を祭る東北地方の寺院で構成される「東北三十六不動尊霊場会」(大江善光会長、宮城県・愛敬院住職)は24日、陸前高田市気仙町の如意山金剛寺(小林信雄住職)で、同寺に建立された同霊場会開創25周年記念碑の開眼法要を執り行った。併せて、震災復興祈願大護摩も行い、炎の前で震災犠牲者の供養と被災地の早期復興を祈った。
 東北三十六不動尊霊場の二十四番札所に数えられる金剛寺は、仁和4年(888年)の創建とされ、1100年以上の歴史を持つ。震災では本堂のほか、位牌堂、庫裏、山門鐘楼堂などが流失し、檀信徒126人が犠牲となった。
 震災の年は、霊場会開創25周年の年でもあった。霊場会は同年9月、所属寺院の中で唯一本堂が全壊した金剛寺のためにと、25周年記念事業の一環として犠牲者の供養と早期復興の願いを込めた供養塔を造っていた。
 この供養塔は、杉の木の角材に文字を刻んだものだったため、6年の歳月による経年劣化が進行。これを受け、霊場会では本年度事業の一環として、改めて25周年記念碑を制作する計画を立てていた。
 記念碑の制作は、地元業者に依頼した。本体は不動明王が持つ剣をモチーフにしており、土台は護摩用に組まれた木材をイメージして彫刻。基礎の石段の一部には、墓じまいせざるを得なくなった金剛寺墓地の利用者から譲り受けた墓石を用いた。
 開眼法要では大江会長が導師を務め、霊場会に所属する寺院の関係者や、金剛寺の檀信徒など約40人が出席した。記念碑には不動明王を表す梵字(ぼんじ)も刻まれており、仏様としての意味合いも強いことから、併せて護摩をたく運びとなった。
 心配されていた天気も持ち直し、出席者たちは高く燃え上がる炎に向かって合掌。震災犠牲者の供養と、被災地の早期復興を強く願った。
 霊場会の関係者たちはこのあと、今年1月に上棟式を行ったばかりの金剛寺本堂内で昼食。建設途中の内部を興味深そうに見学し、金剛寺が再建に向けて確実に進んでいる様子を実感した。
 小林住職(57)は「思ったよりも大きい記念碑で、こういったタイプの彫刻物がなかったので目新しくてびっくりした。ほとんど霊場会に出資してもらい、ありがたい」と感謝。「全国各地から訪れる人はまだまだ続くと思う。そういった人々が手を合わせられる対象ができて良かった」と話していた。