医療の現場を肌で、高校生ら対象に初のオープンホスピタル/大船渡病院
平成29年8月9日付 1面

県立大船渡病院(伊藤達朗院長)で8日、「オープンホスピタル2017『大船渡学』」が開かれた。医療職を目指す高校生らが参加し、職員との座談会や実技講習を通して現場の仕事に理解を深めた。同院では今後、中学生を対象としたオープンホスピタルも予定しており、医療職の人材育成を図っていく。
沿岸部では医療従事者が少ないことから、気仙の生徒らに医療に興味を持ってもらい、人材を育成していこうと開催。これまで看護など職域ごとに見学・体験の場を設けてきたが、病院を挙げての実施は今回が初めてとなる。
同日は大船渡高校1、2年生合わせて32人が参加。伊藤院長のあいさつやオリエンテーションなどが行われたあと、看護師が感染管理について説明。手洗い・手指消毒は感染対策の基本であり、感染防止に大きな役割を果たすと、その重要性を伝えた。
このあと、医師や臨床工学技士、薬剤師、臨床検査技師、看護師がそれぞれの役割について紹介。座談会も開かれ、生徒らが志望する職種の先輩たちからさまざまな話を聞いた。
午後には、「鉗子」や「超音波切開凝固装置」など、実際に使用されている医療器具を用いた「鏡視下手術」体験実技講習のほか、放射線画像の加工技術や設備、薬剤科、臨床検査室、リハビリテーション室にも間近で触れた。
引き続き仮想ケア会議が行われ、生徒らはグループごとに分かれて問題点を抽出し、解決するためのプランを作成。患者が退院後に安心して生活を送るためにどのようなことができるかを具体的に列挙し、各専門職から意見ももらうなどしながら真剣な表情で臨んでいた。
熊谷悠花さん(1年)は「手術体験をしたが、実際は想像以上に難しいのだろうと実感させられた。知らなかったことをいろいろと学ぶことができ、いい体験になった」と医療職に対する興味を深めていた。
伊藤院長は「地域の病院についてより知ってもらいたい。これをきっかけに医療職を志す人が増え、若い力で地域を支えていくことにつながれば」と話していた。