広田湾産イシカゲ貝の出荷量が過去最高に、順調な成育・販売好調で/陸前高田

▲ 今季出荷量が約68㌧と過去最高となった広田湾産イシカゲ貝=陸前高田

前年比9㌧増の68㌧

 

 陸前高田市の広田湾漁協が「広田湾産イシカゲ貝」としてブランド化を目指す「エゾイシカゲガイ」の今季出荷が終了した。数量は前年比9㌧増の約68㌧で、過去最高を記録。順調に成育し、売れ行きも好調だったことから、ほぼ計画通りに出荷できた。生産者や漁協関係者は安どするとともに、目標の年間100㌧生産へ意気込みを新たにする。

 クリーム色のプリプリとした身が濃厚で甘く、料亭やすし店からの需要が高いエゾイシカゲガイ。同市では全国で唯一、産業ベースで養殖を行っている。
 東日本大震災で養殖施設が壊滅したが、平成26年に出荷を再開。現在は13人が生産している。
 今季は、昨年よりも1週間遅めの6月下旬に初出荷。成育期間2年半の貝が、10月上旬まで東京・築地市場を中心に送り出された。
 広田湾漁協によると、支所別の出荷量は広田が5㌧、米崎・小友が23㌧、気仙が40㌧。9月中旬に接近した大型の台風の影響もなく、計画の70㌧には届かなかったものの、過去最高となった前年の59㌧を上回る実績となった。
 関東圏のすし店などの需要が高く、築地市場での1㌔当たりの単価は前年並みの2500円と、震災前より約200円増の高値を維持した。
 「オンリーワンの食材」を武器に、認知度は関東圏のほか関西方面にも広がっており、地元では高田高校や水産加工会社がイシカゲ貝を使った加工品製造に取り組むといった動きも。漁業者の経営再建を後押しする国の「がんばる養殖復興支援事業」が昨年度で終わった一方、本年度は生産規模の拡大などにつなげようと、市が養殖施設の設備購入費などを補助する事業を手がけている。
 同漁協は31年度までに年間100㌧の生産を目標に掲げている。
 同漁協気仙支所販売課の熊谷智主事(43)は「今季はおおむね計画通りに出荷でき、ホッとしている。漁協だけではなく、陸前高田全体で盛り上げていかなければならない食材。関係者とともに力を合わせていく」と語る。
 生産者でつくる広田湾産イシカゲ貝生産組合の熊谷信弘組合長(61)=気仙町=は「販売先も着実に増えてきた。年間100㌧は高い壁だが、その目標を忘れずに努力しなければならない。組合員間でも連携していく」と意欲を語る。