課題打破へ検討会設置、地域医療保持見据え連携強化/住田町

▲ 町内唯一の医科機関となっている住田地域診療センター=世田米

 一昨年、昨年と民間医科診療所の閉院が相次いだ住田町はこのほど、保健や医療、介護分野の連携体制強化を見据えた検討会を設置した。町は後継医師の確保を模索しているが、厳しい状況が続く。検討会では訪問看護充実や既存の県立大船渡病院附属住田地域診療センターの機能強化など、今後の協議の行方が注目される。
 世田米の上代医院は一昨年6月、医師の健康上の理由で閉院。昨年6月には、上有住の櫻井医院が医師の高齢化や厳しい経営状況などを受け、360年にわたる運営の幕を閉じた。 
 町は、気仙地区内の医療関係者と相談・協議を重ね、医院運営を担う医師確保に向けて調整。しかし、いずれも診療再開には至らず、上代医院は解体された。
 この間、町は赴任環境を早期に整えようと既存の法人が運営母体となるような交渉も進めた。しかし、新たな医療機器設備導入への対応といった難しさもあったという。
 相次ぐ閉院により、町内の医科診療機関は世田米の住田地域診療センターのみとなった。また、以前から町内では訪問看護ステーションがないといった課題も抱える。
 町は毎年、対県要望で医療体制の強化・充実を強調。入院ベッドの確保や外来、訪問診療の充実、初期救急医療体制の確保に加え、訪問看護の実施と充実も訴えている。
 検討会では、開業医不在の状況が続く中でも、保健や医療、介護などの各関係者が一層連携し、住民に安心感を与える体制構築を目指す。関係者によると、第1回の検討会議を先月町内で開き、県立大船渡病院や一般社団法人未来かなえ機構、町社会福祉協議会、町の各関係者らが出席。今月中に、2回目となる検討の場を設けることにしている。
 今後は訪問看護の充実や情報通信技術の活用、センター充実策など、町の実情に合ったアイデアが出てくるかが注目される。検討会参集者の一人は「全国的に起こりうる過疎地域での医師不足に対応するための先進事例となる取り組みにも、積極的にチャレンジすることができれば」と、期待を込める。