木質バイオマスを柱に、再生可能エネ活用計画検討委/住田町

▲ 沢辺委員長(写真奥)が加筆・修正した案をもとに議論=町役場

 第2回住田町再生可能エネルギー活用推進計画検討委員会(委員長・沢辺攻岩手大学名誉教授、9人)は7日、町役場で開かれた。昨年3月以来の開催で、前回示された素案に沢辺委員長が加筆・修正した内容をもとに議論。町内の豊かな森林資源を生かした木質バイオマスエネルギーの有効活用や、事業化による地域活性化などに力点が置かれており、委員から異論は出なかった。
 検討委員会は学識経験者、地場産業関係者、住民運動組織、町、町教委の各関係者らで構成。この日は事務局の町職員も含め約10人が出席し、本年度内の策定を目指す計画案について意見を交わした。
 この計画は、町における再生可能エネルギーの導入拡大に関する基本方針を定めるもの。平成27年度に策定した町人口ビジョン・総合戦略・総合計画の内容のうち、再生可能エネルギー導入を通した雇用や所得向上の対策を実施する個別実施計画とも位置づける。
 新たな計画の期間は、29~38年度とする方針。山から木材を出して活用する仕組みづくりに3~5年かけて取り組み、残り期間は状況に応じて柔軟に対応するとしている。
 沢辺委員長は推進計画について、住田らしさを打ち出していく方向性を強調。前回の会議で示された素案は木質バイオマスや太陽光発電だけでなく、メガソーラー、小水力発電、風力発電などに関する拡大・立地促進の方向性が盛り込まれていたが、木質バイオマスに力点を置いた計画づくりを掲げた。太陽光発電は既存機能を生かしつつ、新たな設置は民間の意思に委ねるとしている。
 また、町内の森林は「完熟期」にあり、過密状態になっていると指摘。適正な状況を保ち、次世代に山をつないでいく「補間伐採」の必要性を掲げながら「町内で年間1万㌧は、新たに出していい。住田町はまだ、うまく利用していない」と語った。
 加筆・修正した案の中では、森林資源を生かした新エネルギー産業創出による地域活性化などを念頭に置いた施策の方向性を記載。チップ加工機械導入の必要性や、バイオマス燃料となる木材を集積する「中間土場」などを地元事業所が共同利用する将来像などにも言及している。
 沢辺委員長は、町内の基幹産業であるブロイラー産業での木質バイオマスエネルギー利用や、町外で立地が進む発電施設への木材供給の動向にもふれた。委員から異論はなく、今回示された案を柱として年度内にまとめる流れとなった。