センバツでの活躍期待、花巻東の気仙出身球児

▲ (前列左から)平山選手、紺野選手、佐藤千選手をはじめ、気仙出身者の活躍に期待がかかる=花巻東高グラウンドで

3月に甲子園へ

 

 3月23日(金)に兵庫県の甲子園球場で開幕する「第90回選抜高校野球大会」(通称・センバツ)に、花巻市の花巻東高校が本県から唯一挑む。同校野球部には気仙出身の1、2年生10人が所属。このうち、昨秋の東北大会で活躍した平山涼太選手(2年、大船渡一中卒)、佐藤千暁選手(同、末崎中卒)、紺野留斗選手(同、世田米中)の3人はスタメン起用が予想される。選手らは「日本一を目指し、支えてくれる人たちに恩返しを」と意気込んでいる。
 県内屈指の野球強豪校として知られる花巻東。昨年夏は県大会敗退という無念の結果に終わったが、秋季では県大会を制し、東北大会では準優勝を果たすなど、着実に成長を続けている。
 春のセンバツ出場36校を決める選考委員会は1月26日、大阪市の毎日新聞大阪本社で行われた。秋の戦績から有力候補に挙がっていた花巻東は、6年ぶり3度目の出場が決まった。
 部員は総勢128人。このうち気仙出身者は、平山選手、佐藤千選手、紺野選手のほか、2年生の川内遥大(日頃市中卒)、佐藤秀(同)、磯谷圭太(赤崎中卒)、1年生の三条琉月(日頃市中卒)、磯谷清志郎(赤崎中卒)、村上裕介(高田一中卒)、野中大輔(大船渡一中卒)の各選手が所属している。
 激しいレギュラー争いを勝ち残れるのは、ほんの一握り。この中、投手・平山選手と捕手・佐藤千選手、外野手・紺野選手は秋季東北大会でチームの主力として活躍。センバツでの起用の可能性も高いとみられる。
 左腕の平山選手は、多彩な変化球が持ち味。初の公式戦登板となった昨春の県大会1回戦では、初回から八回までを無失点に抑える好投が光った。秋の大会でも地区予選からマウンドに立ち、チームの勝ちに貢献した。
 〝扇の要〟の佐藤千選手は、強肩で状況判断能力が高く、チームメートからの信頼も厚い。秋は地区予選から東北大会まで全試合に出場。投手の制球が乱れたときや、ピンチの場面での声がけなどでチームを支え、試合の流れを引き寄せた。
 盛岡市の盛岡東リトルシニアOBで、中学時代から硬式の経験を積む紺野選手は、秋の大会で4番打者として活躍。準決勝の日大山形戦では勝ち越し本塁打を放ちチームを勝利に導くなど、〝大黒柱〟として頼もしさを増す。
 故郷を離れ強豪校に進学した3人。初の甲子園行きが決まり、紺野選手は「知らせを聞いたときはほっとした」と振り返り、「応援してくださる方々に感謝し、思いに応えたい」と熱意を見せる。
 ベンチ入りできるのは18人のみ。選手たちは今月中旬からの関東での遠征などで、さらに個々の実力を磨いていく。
 平山選手は「制球力を上げていくことが今後の課題。岩手の代表として恥のないプレーをしたい。投手としての役目を果たし、試合の流れをつくっていければ」と、意欲を燃やす。
 また、佐藤千選手は「センバツ行きが決まり、〝支えられてここまで来た〟という実感がわいている。目標を達成できるよう全力でプレーし、恩返しにつなげられれば」と語る。
 紺野選手も「気仙のみなさんに、自分たちが頑張っている姿を見せたい。ベンチ入りしたら、自分の持っている力を最大限に生かし、日本一を目指したい」と力を込める。
 組み合わせ抽選会は3月16日(金)。試合は23日から13日間にわたって展開される。