海中がれき撤去活動で復興の光大賞に、三陸ボランティアダイバーズ/大船渡

▲ 表彰式に出席した佐藤代表(前列右から2人目)=東京都

 NPO法人日本トルコ文化協会(NittoKAI、ウグル ユジェル理事長)が主催する第4回「エルトゥールル号からの恩返し 日本復興の光大賞18」で、大船渡市三陸町越喜来のNPO法人三陸ボランティアダイバーズ(佐藤寛志代表理事)が大賞に輝いた。東日本大震災の発生直後から続く海中がれきの撤去活動が評価されたもので、関係者らは喜びを新たにしている。

 

日本トルコ文化協会が主催


 明治23年、親善訪日していたトルコ・オスマン帝国の軍艦「エルトゥールル号」は、現在の和歌山県串本町沖にある紀伊大島の樫野埼東方海上で遭難し、587人が犠牲となった。
 その際、地元住民が献身的な救助活動を展開したほか、日本全国から義援金が寄せられ、生存者は日本の軍艦でトルコに送り届けられた。トルコ国民が日本人の厚意に感謝したというこの出来事は、両国友好親善の礎になったという。
 昭和60年のイラン・イラク戦争では、当時の在イラン日本国特命全権大使の要請にトルコ政府が応え、トルコ航空がイラン在外邦人の国外脱出を助けたが、背景にはエルトゥールル号遭難時の恩義に報いる意識もあったといわれる。
 東日本大震災後は、トルコからも官民による支援が行われているが、一方で記憶の風化も懸念されていることから、同協会ではエルトゥールル号の恩返しと友好国・日本の復興支援のため、平成27年に同賞を創設した。
 三陸ボランティアダイバーズは、発災後、海中のがれき撤去のために三陸町を訪れたダイバーたちが結成した団体。23年9月にNPO法人として認証された。
 これまでに同町綾里や越喜来などを中心に、1000回以上も海中がれきの撤去を行っており、参加者は延べ5000人を超える。この活動のために日本全国はもちろん、ヨーロッパ諸国やアメリカ、タイ、モルディブから訪れた人もいるという。
 同賞の受賞は、大震災からまもなく7年を迎える現在でも「少しでも海を良くしよう」と地道な取り組みを続けていることが評価されたもの。東京都内でこのほど開かれた表彰式には、佐藤代表が出席。審査委員長を務めたジャーナリストの池上彰さんから、表彰状とトロフィーが手渡された。
 花巻市出身の佐藤代表は「地元・三陸の海という意識に突き動かされて活動し始めたが、最初の1年間は『海に入った瞬間に陸の物が何かある』という感じ。家や車、道路もあったし、人の生活の全てが海の中にあった」と活動開始当時を振り返る。
 活動には、地元の漁業者たちも協力。現在でも両者の交流は盛んで、ダイバーが水揚げや漁の手伝いをしたり、漁業者がダイビングする光景も珍しくないという。
 こうした活動が実を結び「海の中は震災前の姿を取り戻しつつある」と実感する佐藤代表は、受賞について「漁師のみなさんと二人三脚で、これまでにない新しい活動をしてきたことが評価されたのかも」と喜びを新たにする。
 今後は「三陸とは縁がなかった人たちも活動に参加してくれた。そういった人たちに恩返ししたい気持ちが強い。こちらの人たちと一緒に、手伝ってくれた人たちの地元に出向いて、どんどん交流していきたい」と誓っていた。