〝恵みの炎〟勢いよく、下有住の蕨峠で山焼き/すみた里山を守る会(動画、別写真あり)

▲ 斜面一帯の雑草が炎に包まれた山焼き=下有住

 住田町の「すみた里山を守る会」(紺野昭二会長)は31日、下有住字奥新切地内の蕨峠町有地で山焼きを行った。会員らは自生するワラビなどの芽吹きを促そうと火を入れ、ゆらめく赤い炎に里山の恵みへの期待を込めた。
 守る会は、里山地域の有効活用と環境整備を図ろうと、伝統的な山焼き手法の取得と継承を目指す団体。平成20年に結成した。山菜栽培にも力を入れ、遠野市境に位置する蕨峠町有地の一部を実証区域とし、山焼きとワラビ発生状況調査などに取り組んでいる。
 山焼き作業は、前の年に伸びた雑草などを焼き、新たな草花や山菜が芽吹きやすい環境を整えるもの。蕨峠につながる県道は冬期間は通行止めになっているが、今年はとくに雪が多く、3月下旬でも1㍍近い積雪があったという。除雪作業をするなど地道な準備を重ねたほか、ここ数日は晴れ間が続き、火を入れやすい環境が整った。
 この日の作業には、守る会や町役場農政課の職員ら10人余りが参加。実施区域内に入り、携行用のガスバーナーを使ってカヤなどに着火した。
 風にあおられた炎は「パチッ、パチッ」という音とともに、勢いよく燃え広がった。しばらくの間、周辺を白い煙が包み込んだあとは、着火前とは一変した真っ黒の地面があらわになった。
 地面からは今後、ワラビを中心に山菜の自生が見られるようになるという。
 紺野会長(73)は「峠のあたりはまだ、雪がとけたばかりのなのか、意外に燃え方はよくなかった。今後は順調に育ってくれて、多くの人に楽しんでもらえれば」と話していた。
 例年5月には、山焼きを行った約2㌶の丘陵地一帯は〝ワラビの森〟と化す。守る会では収穫期を見定め、一般の人に収穫してもらう観光農園事業の実施を計画する。