木工2事業体債権回収「和解前に住民説明を」、調停の行方巡り一般質問で論戦/住田

▲ 町政課題を巡り論戦が交わされた一般質問=住田町議会

 住田町議会6月定例会は12日に開会し、会期を15日(金)までの4日間と決め、荻原勝、瀧本正德、佐々木信一、村上薫(いずれも無所属)の4議員による一般質問が行われた。世田米で木工団地を形成する三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)に対する総額10億円超の貸付金残金回収の動きに関して、当局はこれまで5回調停に臨んだものの、和解に至っていない現状を説明。引き続き調停による和解を目指し、和解前には議員と協議を重ね、住民説明も行いたい意向を示した。

 

町議会6月定例会開会

 

 両事業体は、平成19年に経営危機が判明。町から約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町へ償還する計画だった。しかし、支払期日を迎えても、定められた額の償還ができない状況が続いていた。
 調停とは、裁判所の調停委員が間に入り、協議によって適正・妥当な解決を図る制度。双方が納得がいく解決を目指し、和解・合意すると裁判判決と同じ効果がある。
 調停を巡る関連議案は、神田謙一町長就任前の昨年7月11日に開かれた臨時議会に提案され、賛成多数で可決。これを受け、町は同11月下旬に大船渡簡易裁判所に調停申し立てを行った。
 村上議員は、その後の進ちょく状況を質問。神田町長は、1~5月に計5回の調停があったと答弁。当初、申し立ての相手は両事業体と連帯保証人の25個人・団体だったが、相続放棄などを受けて現在は計16個人・団体を対象に進めている現状を明らかにした。
 詳細に関しては「守秘義務があり、お話しできない」と答弁。そのうえで「早期に和解できる内容に進めていきたいと考えており、和解前には議員と協議し、町民にも説明したい」と語った。
 再質問で村上議員は、臨時会議決から11カ月が経過しても合意に至らない理由を追及。横澤孝副町長は「私の考えではあるが、調停の相手が16人で、それぞれに思惑や考えがあり、なかなかまとまっていないのでは」と述べた。さらに「全額債権回収が基本だが、調停によって金額が提示される。議員の皆さんとも受け入れの可否を今後協議したい」とも答弁した。
 同議員は「当初の町側の見通し、判断が誤っていたのでは」と指摘。答弁に立った横澤副町長は「調停申し立てにあたっては、顧問弁護士とともに連帯保証人や議員にも説明を行った。判断の誤りはなかった」と否定した。
 さらに同議員は、三木が29年度決算で4年ぶりに黒字計上したことにもふれ、「事業体からの返済を優先させるべきでは」と追及。これに対して横澤副町長は「経営内容をみるとキャッシュフローがなく、現段階では債権の回収は厳しいとみている」と述べた。
 トップ登壇の荻原議員は、町が27年度末に策定した人口ビジョンなどの目標管理を質問。「『2040年の目標4000人』に対するこれまでの成果、進ちょくは」と迫った。
 神田町長は達成に向けた「社会増減ゼロ」に関し、28年度は9人増の一方、29年度は74人減だったと説明。移住者は年間9組30人、出生数は31人を掲げているがともに実績は下回っているとし、「計画期間の31年度までの達成は困難な状況」と厳しさを示した。
 林業関連施策の推進を取り上げたのは瀧本議員。町が掲げるスローガン「森林・林業日本一のまちづくりを目指す」は、林業振興だけでなく全般で前面に出すべきと提案し、見解を求めた。
 スローガンについて神田町長は、15年3月に策定した住田町総合発展計画後期基本計画で初めて掲げられたと説明。地域づくりや自立・持続を目指したプロジェクトの一つとして、さまざまな施策を進めてきたと振り返った。そのうえで「本年度統一した職員の名刺にも使用しており、まちづくり全般で打ち出すべき一つととらえている」と、今後も積極的に掲げる姿勢を示した。
 佐々木議員は、気仙川に架かる昭和橋架け替えの見通しを尋ねた。当局側は、7~8月をめどに景観検討委員会が設置され、不確定要素はあるものの完成予定年度は34~36年度が目標との認識を示した。
 架け替え場所について山田研建設課長は、現ルートも含め複数案があり、幅員に関しても歩道付きなど多くの選択肢があると説明。委員会の構成は10人弱になるよう調整しているといい「橋のコンセプトや全体の構造、付属物のあり方などを段階的に詰めるとともに、協議の透明化も図っていきたい」と答えた。
 今定例会の日程次の通り。
 ▽13日=本会議(一般質問)▽14日=休会▽15日=本会議(議案審議など)