〝実り〟多い姉妹都市に、クレセントC代表団が来市/陸前高田(別写真あり)

▲ 市役所では職員や市民有志らがクレセントシティの代表団を歓迎=陸前高田市

 今年4月、陸前高田市と姉妹都市提携を結んだ米国カリフォルニア州デルノーテ郡クレセントシティ市の代表団16人が18日、陸前高田市入りした。同日夜には提携の合意書調印式を開催。一行は22日(金)朝に同市を出発するまでの実質4日間にわたり、市内の産業団体や児童生徒、地域住民などと親睦を深め、研修に取り組みながら、今後どのように両市の交流を発展させ、姉妹都市としての真価をいかに発揮していけるかを模索し合う。陸前高田市はこれを機に市民に対する両市の関係周知を図るとともに、滞在中に一人でも多くの住民が代表団と知り合いになれることを願う。

 

4日間にわたり交流と研修、両市の関係発展を模索

 

 同代表団はブレイク・インスコア市長夫妻、クリス・ハワード郡議会議長夫妻をはじめ、郡および市議会議員、行政関係者、教員、県立高田高校と姉妹校提携を結ぶデルノーテ高校の生徒ら16人で構成。18日昼前に高田町の市役所仮庁舎に到着した。
 庁舎のメーンポールに両市の市旗がはためく中、市職員らがほぼ総出でメンバーを出迎え。「WELCOME to RIKUZENTAKATA」とプリントされたのぼり旗を振って長い〝花道〟をつくり、訪問団一人一人と握手を交わしながら来市を歓迎した。
 インスコア市長は「これほど盛大な出迎えを受けたのは初めて。一生忘れられない経験になった」と感激をにじませ、「陸前高田へ来るのは3回目だが、今回は〝実家〟へ帰ってくるような気持ちだった。国際的な家族としてだけでなく、将来にわたって意義ある関係を築きたい」と語った。
 代表団は17日夜に同市入りする予定だったが、東北新幹線が車両点検のため5時間以上にわたって運行休止した影響で、半日以上遅れての到着に。午前に予定されていた市内視察はすべてキャンセルとなった。
 戸羽太市長と岡本雅之副議長、伊藤明彦市議会議長、インスコア市長、ハワード議長らは市長室で懇談。今後、どんな分野の人たちが互いのまちを行き来していったらいいかといった話題を熱心に論じた。戸羽市長は「産業面でも共通点や共通課題があるし、英語教育の充実という面から、教員の交換派遣といったこともできれば」と、現在考えうる可能性に触れた。
 また、ほかの参加者らは市コミュニティホールで行われたランチミーティングにおいて、防災、民生、教育、財政の分野別に分かれ、陸前高田での取り組みなどを学習。市からは堺伸也防災局長、菅野利尚民生部長、戸羽良一教育次長、村上幸司総務部次長が応対し、参加者からの疑問に答えた。
 このうち、防災のグループに加わった行政関係者らは、東日本大震災発生当時、インフラが寸断された中で市がどのように情報発信を行ったのかや、避難の心得などについて真剣に尋ね、自分たちの地域での参考としていた。
 同日は市消防防災センターを見学したあと、両市が姉妹都市関係を築くきっかけとなった県立高田高校(須川和紀校長、生徒438人)も訪問。夜には高田町のキャピタルホテルで合意書調印式が行われた。
 代表団は21日(木)までの間、米崎町の陸前高田グローバルキャンパスで防災研修に臨むほか、地元住民との交流会や、広田湾漁協(砂田光保組合長)の協力による定置網体験、工場・農場、学校などの見学、中心市街地の視察などを行う予定となっている。
 また、22日まで高田町のアバッセたかたで、姉妹都市提携締結記念写真展が開催されており、両市の関係が始まったきっかけや、二つの市のよく似た風景などを比較して鑑賞することができる。
 戸羽市長は「今回の訪問は、クレセントシティのことを陸前高田の皆さんにより広く知ってもらう良い機会ととらえている。代表団にはぜひ市民との交流を楽しんでもらい、次につながる関係を築いていってほしい」と語った。