国への要望5項目決定、岩手・宮城県際市町議会議長会総会/ 住田町で

▲ ILCの誘致実現など国への要望項目を決めた総会=住田町役場

 岩手・宮城県際市町議会議長会(会長・熊谷昭浩大船渡市議会議長)の平成30年度総会は6日、住田町役場で開かれた。議事では平成29年度事業報告と30年度事業計画、国に要望する5項目の内容について審議し、すべて原案通り承認、決定した。
 同議長会は県際の広域的な行政課題解決を図ろうと19年に設立。気仙では県境に接する陸前高田市が当初から入っていたほか、25年度からは大船渡市と住田町の両議会も加わり、各構成市町の興隆・発展を目指している。
 現在、岩手県は一関市、陸前高田市、大船渡市、平泉町、住田町、宮城県は気仙沼市、栗原市、南三陸町、登米市と計9市町で構成。総会には、議会正副議長および事務局長ら20人余りが出席した。
 熊谷会長は「古くから県際に位置する自治体は文化、生活、経済圏を共有し、東日本大震災時は互いに助け合った。真の復興完遂、持続可能な地域づくりには、お互い発展する仕組みが求められている。今後とも連携を」と述べた。 
 議事では、本年度の「構成市町から選出の岩手県・宮城県議会議員との懇談会」を登米市で行うことを決定。国際リニアコライダー(ILC)と交流人口の拡大をテーマに、意見交換を予定している。
 また、構成市町議会の議長全員で、政府などに対して要望を行う。要望項目は構成市町から提出された▽ILCの誘致実現(提出・全構成市町)▽一般国道343号の整備促進(同・陸前高田市、一関市)▽被災(移転)跡地の利活用に係る予算枠の確保(同・大船渡市、陸前高田市)▽地域林業の活性化に向けた木材需要拡大の取り組み(同・登米市)▽東日本大震災に係る復旧・復興工事に伴う2次被害への財源措置(同・南三陸町)──の5件とした。
 このうち、国道343号では、交通難所解消に向けて陸前高田市矢作町〜一関市大東町に(仮称)新笹ノ田トンネルの建設を求める。被災跡地に関しては、32年度までの「復興・創生期間」内に利活用に関する予算枠を確保するよう訴える。
 総会終了後は、町内で現地調査を実施。いずれも地元資源の有効活用を進めようと木造で整備された役場庁舎や、大船渡消防署住田分署について町職員から説明を受けた。構成市町の議長らは、木造ながら広い室内を確保した工夫やこだわりに理解を深めた。