『辺辺の四季』を再発刊、気仙の風土知る手引書

▲ 再版された『気仙 辺辺の四季』。三陸菓匠さいとうの各店で販売

全127編を収録

 

 さいとう製菓㈱(大船渡市)の提供により平成10年から足かけ8年、108回にわたって企画広告として東海新報紙上に掲載され、同20年に一冊の書籍として発刊された『気仙 辺辺の四季』。その後は絶版となっていたが、28年5月〜29年12月に本紙で新規連載された内容を含む改訂版が1日に東海新報社から出版される。四季を通じた気仙の自然や風習、歴史、祭事、名所などを網羅する郷土資料であると同時に、ふるさと・気仙を〝再発見〟するための読み物となっている。
 同書は気仙地方の海・山・川…折々の風景とくらしを訪ねる風土記かつ歳時記であり、写実的なイラストと文章で構成。20年前、「身近にある風物を見つめ直し、観光案内の手引きにもなるように」という同社の希望により、月1回の企画広告として連載が始まった。「あだりほどり」は気仙の方言で、「そこら中」「隣近所」「あっちこっち」などの意味を持つ。
 23年には東日本大震災が発生し、気仙地方はあらゆる面ですっかり様相を変えてしまったが、同社の齊藤俊明会長や齊藤俊満社長の、「今こそ地元の良さを再発見してもらいたい」という思いを受け、2年前に「続・あだりほどり」として本紙連載が再スタートした。
 改訂版は昨年末までに掲載された「松日橋」「おちつきと桜音頭」「北限のゆず」など新規19編を加えた内容。「奇跡の一本松」「未音岩」など、大震災後に生まれた場所、風物もある。
 一方、旧バージョンに収録されたものに関し、震災や高齢化の影響で継承が途絶えてしまったり、形を変えた祭り・風景などもあるが、「それもこの地方が積み重ねてきた歴史の一コマ」として削除せず残した。
 絶版後も同書に関する問い合わせがあったという同社では、齊藤社長も再刊を喜ぶとともに、「これを読むと、いかに気仙のことを知らずにいたか思い知る。地元について『田舎で何もない』と思っている方にこそ読んでいただき、この地の奥深さを知ってほしい」としている。
 価格は税込み2160円。大船渡市大船渡町のかもめテラス(総本店)、陸前高田市高田町のアバッセたかた内にある高田店をはじめ、盛岡、北上、釜石、大槌、気仙沼にある同社直営の各店舗で購入できる。