「うごく七夕」モチーフに、「和菓子甲子園」出場へ/大船渡東高食物文化科の生徒2人

▲ 本番に向けて腕を磨く佐藤さん㊨と髙橋さん=大船渡東高校

 今月21日(火)に大阪市で開かれる「全国和菓子甲子園」(全国菓子工業組合連合会青年部主催)決勝戦に、大船渡東高校(川村俊彦校長)食物文化科の佐藤愛さん(2年)と髙橋柚衣さん(同)が出場する。高校生2人がペアとなって地域の自慢を和菓子で表現する大会で、陸前高田市高田町に住む2人は、同町の「うごく七夕」をモチーフにした作品で挑む。2人は、ともに構想した作品を理想の形に近づけようと、本番に向けて腕を磨いている。

 

 わがまちの自慢を表現

 

 この大会は、将来の職人発掘や新しい和菓子の発見につなげようと開かれているもので、今回が9回目。全国を6ブロックに分けて書類審査による予選を実施し、各ブロックで審査を通過した3チーム、計18チームが決勝戦に出場する。
 今回のテーマは、「わが町自慢の創作和菓子」。名所やシンボル、風景、文化・歴史など、自身が住んでいるまちの自慢を和菓子で表現する。
 佐藤さんと髙橋さんは、自宅がある高田町で毎年夏に行われている「うごく七夕」を主題にした創作和菓子「清夏」でエントリー。
 海藻を原材料とする「アガー」で作った青と透明のゼリーの中に、「うごく七夕」の山車に見立てたピンク、紫、白の練り切りを入れ、2人が幼少のころから見てきたという思い出の風景を表現した。
 ゼリーは透明な部分で涼しげな夏の雰囲気を表し、青は夜空としているが、2人は「見方によっては青い海とも捉えられ、1色で二つの高田の良さを表現できた」という。
 また、ゼリーの上には、織姫と彦星になぞらえたレモンの皮を配した。これには、「普段は地域全体で集まることが少ない住民たちも、織姫と彦星の伝説のように七夕の夜は集うことができる」という意味も込めている。
 2人の和菓子は、32点の応募があった北海道・東北ブロック予選を通過。見事、決勝戦への切符を手にした。
 これを受け、本番に向けて2人に製菓技術をさらに高めてもらおうと、県菓子工業組合が技術指導を申し出。同組合会員である、さいとう製菓㈱(齊藤俊満代表取締役社長)の武田信治常務取締役(59)と佐藤隆弘研究開発室課長(48)が7日来校し、2人を直接指導した。
 武田常務らは、アガーを使う際の注意点などを説明したほか、「ゼリー表面の青と練り切りの紫が同系色で暗く感じる。こういう和菓子は見た目も大切。夜のイメージがあっても、(ゼリーの)中は華やかな方がきれいに見える」などとアドバイスしていた。
 このあと、実際に和菓子作りを行いながら、コツやポイントを伝授された佐藤さんは「(武田常務と佐藤課長は)手つきが早くてすごいと思った。本番は今までより良い作品を作って、高田の良さを伝えられるように頑張りたい」と、髙橋さんは「プロの人に見てもらい、自分たちが知らなかったことがたくさんあった。先生や教えてくれた方たちに、今まで応援してくれた感謝の気持ちを込めて、恥ずかしくない作品を作りたい」と意気込んでいた。
 決勝戦は1時間45分という制限時間の中で、その腕前を競い合うが、2人は地元への思いや感謝も詰め込んだ理想の和菓子を作り上げるつもりだ。