沿岸3市 復興道路つながる、吉浜─釜石南の5㌔開通/三陸沿岸道(動画あり)

▲ 開通を祝って関係者らがテープカット=三陸町吉浜

 大船渡市と釜石市を結ぶ三陸沿岸道路「吉浜釜石道路」(延長14㌔)のうち、吉浜インターチェンジ(IC、三陸町吉浜)─釜石南IC(唐丹町)間の延長5㌔が11日、供用を開始した。これによって陸前高田、大船渡、釜石の3市が三陸沿岸道路で結ばれ、沿岸南部の交通ネットワークが充実。関係者は着工から6年余りでのスピード開通を喜ぶとともに、通行の安全性確保や産業振興など、さまざまな整備効果へ期待を込めた。

 

関係車両による走り初めののち、一般供用を開始=同

整備効果発揮へ期待高まる


 三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ総延長359㌔の自動車専用道路。震災からの復興に向けたリーディングプロジェクトとして、国が「復興道路」に位置づけて整備を進めている。
 気仙地区では震災後、「高田道路」(延長7・5㌔)が平成26年3月、「吉浜道路」(同3・6㌔)が27年11月、唐桑高田道路(同10㌔)のうち陸前高田長部IC─陸前高田IC間の延長6.5㌔が先月28日にそれぞれ供用を開始。今回の吉浜IC─釜石南IC間の5㌔を含めると、16年度までに開通した「大船渡三陸道路」(同17・6㌔)と合わせて40・2㌔がつながった。
 開通式は吉浜IC付近で行われ、国、県、市、用地提供者、施工業者、地元関係者ら合わせて約150人が出席。
 達増拓也知事は「(道路開通は)三陸沿岸地域の復興を力強く後押ししていくものと確信している。国、県、市町村、関係者と一体となって復興道路、復興支援道路の早期全線開通をはじめ、三陸復興創造に総力を上げて取り組んでいく」とあいさつ。
 戸田公明大船渡市長は地権者や国、県、工事関係者への感謝を述べたうえで「『命の道』としての姿が形として着実にできてきている。吉浜ICから釜石南ICまでの開通は、震災からの復興をより加速させるもの」と、さまざまな整備効果へ期待を寄せた。
 国交省の池田豊人道路局長は「国交省としては引き続き、残りの復興道路、復興支援道路を復興創生期間内、2020年度までの全線開通を目指してさらに事業を推進していく」と力を込めた。
 鈴木俊一五輪担当大臣や平野達男、木戸口英司、佐藤信秋各参議院議員の祝辞に続いて、大船渡市のまちづくり会社、㈱キャッセン大船渡の臂徹取締役が「仮設から本設へとまちの整備が進んでいる。道路開通に伴って来訪者の増大、商流拡大に大きな期待を寄せているところ。他の地域とつながっていくことに大いなる楽しさを感じながら、日々まちづくりにあたっていきたい」と期待の言葉を述べた。
 御礼の言葉では、野田武則釜石市長が「非常に大きな役割を担う道路で、大船渡と釜石が結ばれたという歴史的な瞬間」とし、道路の利用促進へ向けて連携して取り組んでいくことを誓った。
 テープカットのあとはパトカーを先頭として関係車両による走り初めも行われた。同日午後から一般供用開始となり、多くのドライバーが真新しい道路を利用した。
 吉浜─釜石間は、現道の国道45号の約4割が線形不良箇所で、正面衝突事故が多発。吉浜IC─釜石南ICの開通により、事故多発区間を回避して通行の安全性を確保できるほか、水産物の輸送、三陸沿岸地域の観光振興にも期待がかかる。
 また、来年にはラグビーワールドカップの釜石開催や三陸防災復興プロジェクト2019の開催も控えており、こうしたイベントへの円滑なアクセスも図られることとなる。
 吉浜釜石道路のうち、残る釜石南ICから釜石ジャンクション(JCT)までの9㌔も本年度内の開通を目指して工事が進められている。