気仙三十三観音に「巡礼歌」、陸前高田の有志ら自主製作

▲ 田﨑飛鳥さんの絵画をジャケットに使用した「風になれたら」のCD

あす、盛町のシンポ会場で販売

 

 陸前高田市の有志らが自主製作を進めてきた気仙三十三観音霊場の「巡礼歌」が、このほど完成した。地元でも忘れ去られた存在となっていた霊場巡りに再び光を当て、東日本大震災で被災した人々の心のよりどころ復活に尽力してきた団体と、徒歩で霊場を訪ねる巡礼者たちへの〝応縁(おうえん)歌〟で、8日(月・祝)に大船渡市盛町で行われる気仙三十三観音シンポジウムの会場でこの歌のCDを先行販売する。

 この歌は「気仙三十三観音巡礼歌 風になれたら」のタイトルで、巡礼歌製作委員会(髙澤公省代表)が手がけたもの。委員会代表で陸前高田市高田町・光照寺住職の髙澤さんが作詞、バンド「ソウルメイト」メンバーで竹駒町在住の佐々木実さんが作曲した。編曲は、「姫神せんせいしょん」元メンバーで作編曲家の佐藤将展さん(盛岡市)が担った。
 平成23年、東京都の僧侶らによる団体「ひとさじの会」が、被災地住民の心のよりどころ復活を願って「祈りの道・気仙三十三観音霊場再興プロジェクト」を立ち上げ、霊場マップづくりやご朱印制作、年2回の徒歩巡礼会を開くなどしてきたことで、江戸時代を発祥とする観音堂巡りの認知度が上昇。今年夏には「てくてく気仙三十三観音参り」として、コミックエッセイも発売された。
 髙澤さんは「現地の札所を預かる一人として、その情熱と厚意に報いたい」と考え、以前、楽曲を聴いて感銘を受けた佐々木さんに作曲を、その曲で歌唱を担当していた同市のソロシンガー・菅野洋子さんに歌を依頼した。
 「歩いて巡るという実体験が伴うからこそ、巡礼には意味がある」と髙澤さん。「観音堂はそれぞれ、一般の方が別当をされていたりするし、寺院もみんな宗派が違う。地元の私たちがやろうとしても難しかったであろうことをやってもらった」と語り、祈りの道再興への尽力に感謝する。
 歌詞の内容は巡礼者の視点で描かれながらも、観音様のまなざしが全編にわたって感じられる。CDジャケットを飾るのは、横田町在住の画家・田﨑飛鳥さんの絵画「道」。木立に囲まれながらまっすぐ明るいほうへと延びていく道に、霊場を巡る人々の内面を重ねたという。
 「三十三観音巡礼のテーマソングというようなものではない。こちらが勝手に作っただけ」と説明する一方、髙澤さんは僧侶として、巡礼者の心のありようは「自我の都合から離れ、風のようにあってほしい」といい、この歌がそうした心の〝サプリメント〟になればと願う。
 CDは1枚1000円(税込み)。同プロジェクトが8日午前10時から大船渡市盛町のカメリアホールで開催する気仙三十三観音シンポジウムで先行的に販売する。
 CDに関する問い合わせは髙澤さん(℡090・3120・1962)まで。