霊場巡り歴史にふれる、「祈りの道」再興プロジェクト/大船渡で(別写真あり)

▲ 霊場を巡り歩き、地域の歴史について理解を深めた参加者ら=日頃市町

 「祈りの道」再興プロジェクト(福田亮雄代表)は7日、大船渡市内で「気仙三十三観音霊場一日徒歩巡礼」を催した。講話や日頃市町の霊場巡りなどが行われ、参加者らが各地にある文化資料の歴史的価値や、先祖の思いにふれた。
 同プロジェクトは、東日本大震災後、江戸時代中期に選定されたとされる同霊場の存在を知った僧侶らが立ち上げたもの。震災被災者の心を癒やすとともに、地域の観光資源の掘り起こしに寄与するさまざまな行事を展開しており、現在は毎年春に5泊6日の徒歩巡礼を、秋に三十三観音にまつわる講演会と一日巡礼を実施することを主な活動の柱としている。
 この日は、地域住民ら30人余りが参加。午前は、盛町のカメリアホールで、郷土史に詳しい日頃市町の佐藤善士さん(82)による講話を聴講。午後は日頃市町に移動し、鷹生地区から猪川町の同霊場十九番札所・稲子沢観音堂まで約7㌔の徒歩巡礼を行った。
 このうち、徒歩巡礼では地元住民の案内のもと、阿弥陀如来像などがまつられている日頃市町の「在家御御堂」「中村御御堂」「上の上太子堂」や民家、長安寺を回った。
 御堂や民家では、500年余り前に作られ、大切に保管されてきたとされる仏像などを見学。公にあまり知られず、所有者らが代々守り継いできた文化財の数々に、歴史好きの参加者らが目を輝かせた。
 真言宗智山派・成就院(東京都台東区)の住職でもある福田代表(50)は「文化財が形を失わずに現在まで残されていることに、先祖の信仰の強さがうかがえる。参加者のみなさんにも心を寄せていただき、地域の価値を再発見する機会にしてもらいたい」と話していた。
 8日は、午前10時からカメリアホールでシンポジウムを開催。「観音をめぐって思いを巡らす〜気仙三十三観音を歩いて見えてきたもの」をテーマに、過去の巡礼で気仙三十三観音霊場をすべて巡ったことのある澤田幸枝さん、岸浩子さん、舩野章さん、松田惣喜さん、山田謙介さんらが登壇する。