変わらぬ被災地への思い 気仙での活動通算60回に トヨタG16社のボランティア(別写真あり)

▲ トヨタグループボランティア・第60期の参加メンバーら=陸前高田市

 トヨタ自動車㈱(愛知県豊田市)をはじめとしたトヨタグループ16社による気仙でのボランティア活動が19〜21日の日程で行われている。平成23年の東日本大震災発生直後からスタートした活動は、今回で通算60回目。すでに足かけ8年の支援となるが、東北、そして気仙への社員の関心は薄れていないという。同社などは「私たちも勉強させてもらっている。合計10年間は通う」と、引き続き心を寄せ続けることを誓う。

 トヨタグループは23年6月から毎年、有志のグループ社員らが夏〜秋の年数回にわたって来仙。現在は、大船渡市の㈱カメリア社中(佐藤優子代表取締役)が活動をコーディネートする。
 これまでの参加人数は延べ1000人を優に超え、今なおボランティア参加の募集をかけると多くの応募があるという。
 今回は事務局メンバー2人を含む10人が19日に気仙入り。陸前高田市で震災語り部の話を聞くなどしたほか、同市では20日にリンゴ農家の作業をサポート。大船渡市の大船渡津波伝承館も訪ねた。21日は、気仙の特産品・つばき油を搾るためのツバキの実拾いに協力することになっている。
 このうち、陸前高田市米崎町のリンゴ園「林ノ下農園」では、トヨタグループ専用の果樹畑でリンゴの実に日光を当たてるための「葉摘み」に挑戦。見逃しがないよう葉をかき分け、丁寧に摘み取りながら、鈴なりのリンゴ一つ一つに太陽がよく当たるよう調整した。
 大船渡市出身で、日野自動車㈱(東京都)パワートレーン実験部の津田智見さん(55)は「震災直後、被災した親戚の手伝いで泥かきなどをしてきたが、改めてこういう〝ボランティア〟の立場から地元を見てみたいと思った」と参加理由を語り、「リンゴ生産のためにこんな苦労があることも今まで知らなかった。気仙の人たちがこんなに温かくて優しいということも感じ、誇らしい気持ち」と話していた。
 トヨタ自動車は東日本大震災後、億単位の義援金拠出をはじめ、物心両面で東北をバックアップ。
 中でも、関連16社による気仙でのボランティアは最盛期で年間14回、現在も年5、6回行われており、地元からも深く感謝されている。
 同社社会貢献推進部の大洞和彦さん(56)は「東日本大震災に関する社員の関心はいまも根強い。ここでの活動をきっかけとして、トヨタ自動車社内でも災害ボランティアセンターでのコーディネーター養成と被災地への派遣を始めるなど、新しい活動にも発展している」と説明。
 また、「養成講座の受講者には気仙で活動した経験を持つ人が多く、これまでの取り組みは西日本豪雨被災地など、ほかの災害現場支援にも生かされている。私たちこそ皆さんに学ばせてもらっている」とも語り、気仙地域での受け入れに感謝を示した。 
 同グループの活動は、本年度あと2回予定されている。