秋を彩る祭り絵巻、下有住・月山神社五年大祭/住田(動画、別写真あり)

▲ 色づく秋の恵みの中を練り歩いた神輿渡御の行列=下有住

 住田町下有住に鎮座する月山神社(瀧本正德宮司)による五年大祭は21日、生涯スポーツセンターなどで行われた。神社から繰り出した神輿渡御の行列が里山の秋を彩り、同センターでは住民らが郷土芸能や手踊りを奉納披露。訪れた人々は、4年に1度の祭り絵巻を存分に楽しんだ。
 神社での祭事に続き、火の土虎舞や神輿、外舘と高瀬(月山)の両鹿踊などによる行列が組まれ、同センターまでの気仙川左岸を練り歩いた。通り沿いの収穫を終えた田からは水蒸気が立ち上り、幻想的な光景に包まれた。
 行列は地域住民が育てた農作物の豊穣を祝うかのように祭りばやしを響かせ、実が色づいた柿の木や、稲架干しの前を通過。里山の秋を華やかに彩り、沿道で見守った住民らを魅了した。
 センターでも祭事が執り行われたあと、大祭実行委員長を務める佐々木春一氏子総代長が「人口減少が著しく、祭りのあり方に心配の声もあったが、次の世代に引き継いでいくためにも、やろうということになった」とあいさつ。神田謙一町長も祝辞を述べ、成功を目指して地道に準備を重ねた住民の団結をたたえた。

多彩な演舞が繰り広げられた芸能奉納=同

 芸能奉納では、火の土、月山、外舘、新切の各祭り組が郷土芸能や手踊りを次々と披露。一般住民だけでなく、幼児や出身者らも舞に加わり、地域の誇りを込めた熱演を繰り広げた。
 このうち、月山の高瀬神楽は明治30年ごろに矢作村(現・陸前高田市)の生出神楽から習ったのが由来とされ、旧下有住小学校では児童たちが運動会で披露。この日の奉納でも小中学生が躍動し、伝統継承への思いを力強く発信した。
 有住中1年の吉田莉玖君(12)は「前回よりも衣装が重くなって大変だったけど、剣の持ち方などに気をつけながら舞った。次の大祭も、何かの奉納で関わりたい」と話していた。
 月山神社は慶長年間に吉田筑後政義が祭ったとされ、地域が一つにまとまり、自然の恵みに感謝するよりどころとなってきた。五年大祭は途絶えた時期もあったが、昭和59年に復活。東日本大震災を受け、例年会場としてきた旧下有住小グラウンドに木造仮設住宅が建設されたため、前回に続き同センターで芸能奉納が行われた。