伝統的な慶事の風習を再現、住田で「昔ながらの手づくり結婚式」(別写真あり)

▲ 祝福を受けた稜太さん、優美さん夫妻

住田高校前での迎え酒後に生徒たちと記念撮影も

 住田町内で26日、伝統的な慶事の風習を再現する「昔ながらの手づくり結婚式」が行われた。和装の新郎新婦が練り歩き、古き良きたたずまいがある世田米商店街を彩ったほか、住田高校前では新婦と交流がある生徒や地域住民らが祝福。各地で「送り酒」「迎え酒」が繰り広げられ、心温まる祝福ムードに包まれた。

 

高校生らと喜び共有

 

 町内では結婚式に合わせ、花嫁道中や新郎宅での「三三九度(さんさんくど)」などが行われてきたが、近年は見られなくなっている。地域の伝統や人々の記憶を紡いでいこうと、町からの助成を受けた同結婚式実行委員会が主催し、一昨年10月以来となる。
 祝福を受けたのは、茨城県日立市在住の医師・相川稜太さん(27)と、同町在住で教育コーディネーターの小宅優美さん(26)夫妻。優美さんは、平成28年にボランティアで住田を訪れた縁で、現在は町教委による住田高校支援事業などにかかわっている。これまで開催された「手づくり結婚式」でも裏方として携わり、住田での白無垢姿に憧れを膨らませていたという。
 世田米のまち家世田米駅を、新婦宅に見立てて挙行。多くの地域住民らが見守り、新婦を仲人に預ける盃事や送り酒が行われた。
 古民家を生かした施設を背に、和装の参列者らが記念撮影。商店街沿いでは古式ゆかしい新郎新婦や仲人、両親役の「御諸親(おもらい)」、親族役の「脇諸親(わきもらい)」らが列をつくり、地域住民らの祝福に笑顔で応えた。
 迎え酒が行われた住田高校前では、日ごろから優美さんと交流がる生徒たちが待ち構え、喜びを共有。出迎えた3年生の佐々木美歌さん(18)は「研修会館での『放課後の学び場』では、よく話をきいてくれるし、憧れの存在。白無垢姿は、とてもきれいだった」と語り、瞳を輝かせた。
 下有住地区公民館では、新郎新婦が永遠の契りを交わす『三三九度』などが行われた。床の間飾りが置かれた中で和装の女性住民らが準備にあたり、手づくりの膳料理を並べるなどして、かつての慶事の風習を再現。乾杯後は『さんさ時雨』『外舘甚句』など祝いの舞が繰り広げられた。
 稜太さんは「たくさんの方々にかかわっていたただき、住田の皆さんの力や心の温かさにふれることができた」、優美さんは「思っていた以上に高校生が多く来てくれて、ホロッときた。感謝でいっぱい」とそれぞれ話していた。