3月9日全線開通へ、沿岸と内陸結ぶ大動脈形成/吉浜釜石道路

 国交省東北地方整備局南三陸国道事務所は8日、三陸沿岸道路「吉浜釜石道路」(延長14㌔)と「釜石山田道路」(同23㌔)にまたがる釜石南インターチェンジ(IC)─釜石両石IC間の14・6㌔、東北横断自動車道釜石秋田線「釜石花巻道路」(同80㌔)の釜石ジャンクション(JCT)─釜石仙人峠IC間の6㌔が3月9日(土)に同時開通すると発表した。これらの開通によって沿岸と内陸部を結ぶ大動脈が形成されることとなり、縦・横軸の道路ネットワーク直結による復興けん引、広域周遊ルート形成による観光振興など、整備効果発揮による県全体の活性化に期待がかかる。

 

釜石花巻道路も同時全通

 

 復興道路として整備が進められてきた三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ総延長359㌔の自動車専用道路。
 気仙地区では震災後、「高田道路」(延長7・5㌔)が平成25年度、「吉浜道路」(同3・6㌔)が27年度、「唐桑高田道路」(同10㌔)のうち陸前高田長部IC─陸前高田IC間の6・5㌔が昨年7月、吉浜釜石道路のうち吉浜IC─釜石南IC間の5㌔が昨年8月にそれぞれ供用を開始。16年度までに開通した「大船渡三陸道路」(同17・6㌔)と合わせると、これまでに40・2㌔がつながっている。
 今回、吉浜釜石道路のうち、釜石市内を通る釜石南IC─釜石JCT間の9㌔がつながり、これにより吉浜釜石道路は全線開通を迎える。
 さらに、釜石山田道路のうち釜石JCT─釜石両石IC間の5・6㌔が同時開通となり、県内の三陸沿岸道は213㌔中122㌔が供用となる。31年度に釜石北IC─大槌IC間(同4・8㌔)が開通すると、宮古市から陸前高田市までが一本の道でつながる。
 沿岸と内陸間の物流効率化による産業活性化のほか、津波浸水区域を回避した緊急輸送道路の信頼性が確保されるなど、開通によるさまざまな整備効果が期待される。
 一方、釜石花巻道路は花巻市と釜石市を結ぶ道路で、14年度に東和IC─花巻JCT間の11・4㌔、18年度に仙人峠道路(同18・4㌔)、24年度に宮守IC─東和IC間の23・7㌔、27年度に遠野IC─宮守IC間の9㌔が開通。3月3日(日)には遠野住田IC─遠野IC間の11㌔が開通予定で、釜石JCT─釜石仙人峠IC間の6㌔が供用になると横軸が一本につながる。
 今年9月に釜石で開催されるラグビーワールドカップで、本県には推計13万人の来訪が見込まれていることから、道路ネットワークを活用して気仙を含む沿岸部と内陸部で広域的に宿泊先を提供することにもつながりそうだ。
 開通発表に対し、達増拓也知事は「岩手の沿岸と内陸が初めて高速交通体系で結ばれるとともに、年度内に宮城県まで開通する三陸沿岸道にも結節してネットワークが形成されることは県政史上において歴史的な出来事。三陸沿岸地域の復興を力強く後押ししていくものと確信している」などとするコメントを出した。
 三陸沿岸道、釜石花巻道路の今回開通区間は別図の通り。